460 / 538
~戸惑い~
美男
しおりを挟む
「初めまして、杉崎と申します。」杉崎さんが深々と頭を下げて、両手で名刺を差し出す。
「は、初めまして、水無月と申します。よろしくお願い、します…」
私も慌てて、杉崎さんの挨拶に続く。
名刺を渡すこと自体初めてで、おかしな緊張が走る…。
「いや~~ご丁寧にどうも~。今日は遠路はるばる、こんな田舎まで来ていただきありがとうございます。本来ならこちらから赴くべきところ、来ていただき申し訳ありません…!」
応接室で、人の良さそうな初老の男性が私たちの名刺を受け取り、深々とお辞儀を返してくれる。
製菓会社の代表取締役…物腰が柔らかく、優し気な印象の男性だった。
「いえ!とんでもないです…むしろ、こちらとしては嬉しい限りで…絶えず、素晴らしい商品を生み出している御社にお邪魔できる機会なんて滅多にありませんので。」杉崎さんがにこやかに微笑む。
「いやいや、お褒めいただきありがとう。今回はすごく楽しみにしていてね~なにせ、大手菓子メーカー同士のコラボ商品だからね…いや、自分で自分のとこを大手って言いきるのも恥ずかしいがね…まあ、力を合わせてイイものを作って欲しいし、それに見合う宣伝もね…ぜひ後で、うちの社員とも交流を深めて欲しい。」
「はい、是非…!こちらも色々と、勉強させていただきます。よろしくお願いします。」
杉崎さんが頭を下げるのに少し遅れて、私も頭を下げる。
「はっはっは~~ いや~~しかし、まさか…こんな美男美女の方々が、我が社を訪れるとは思っていなくてね~驚いたよ。君たちが入ってきた時のうちの社員達の顔、見たかい…?男も女も目を丸くしてた!そうそう!夜はちょっとした懇親会も予定しているから、是非とも二人に参加して欲しいな~何か予定はあるかい…?」
豪快に笑いながらも、社長に美男美女と言われ…杉崎さんは確かに称賛に値する美男だと言えるが、私は…と考えてしまう卑屈な自分がいた。それとともに、懇親会が予定されていると聞き、密かに落胆の気持ちをおぼえる…さすがに、断ることが出来ないことは私にもわかっては、いたが…。
「とんでもありません、夜も大丈夫です。楽しみにしています…そんなにもお気遣いいただき、すみません。」
杉崎さんは変わらずにそつのない返事をし、その後しばらくお茶を飲みながら会社同士の話をした後、オフィスに場所を変え、社員数名とコラボ商品の売り出し方…宣伝方法などの打ち合わせを始めた。
「お疲れ様です、お茶をお持ちしました。着いたばかりですし、少しは休憩してくださいね?」
話を進めている私と杉崎さんの前に、女性社員の一人がお茶を出してくれる。
「ああ…ありがとうございます。」
杉崎さんの優しい声とその表情に、その女性社員がぽうっと頬を赤らめたのがわかった。
いつも、こうだ… 杉崎さんは無自覚に女性を引き付ける…。
私は複雑な気持ちをおぼえながらも、初めての出張でのノウハウを余すことなく吸収したい一心で、目の前の仕事に励んだ…。
「は、初めまして、水無月と申します。よろしくお願い、します…」
私も慌てて、杉崎さんの挨拶に続く。
名刺を渡すこと自体初めてで、おかしな緊張が走る…。
「いや~~ご丁寧にどうも~。今日は遠路はるばる、こんな田舎まで来ていただきありがとうございます。本来ならこちらから赴くべきところ、来ていただき申し訳ありません…!」
応接室で、人の良さそうな初老の男性が私たちの名刺を受け取り、深々とお辞儀を返してくれる。
製菓会社の代表取締役…物腰が柔らかく、優し気な印象の男性だった。
「いえ!とんでもないです…むしろ、こちらとしては嬉しい限りで…絶えず、素晴らしい商品を生み出している御社にお邪魔できる機会なんて滅多にありませんので。」杉崎さんがにこやかに微笑む。
「いやいや、お褒めいただきありがとう。今回はすごく楽しみにしていてね~なにせ、大手菓子メーカー同士のコラボ商品だからね…いや、自分で自分のとこを大手って言いきるのも恥ずかしいがね…まあ、力を合わせてイイものを作って欲しいし、それに見合う宣伝もね…ぜひ後で、うちの社員とも交流を深めて欲しい。」
「はい、是非…!こちらも色々と、勉強させていただきます。よろしくお願いします。」
杉崎さんが頭を下げるのに少し遅れて、私も頭を下げる。
「はっはっは~~ いや~~しかし、まさか…こんな美男美女の方々が、我が社を訪れるとは思っていなくてね~驚いたよ。君たちが入ってきた時のうちの社員達の顔、見たかい…?男も女も目を丸くしてた!そうそう!夜はちょっとした懇親会も予定しているから、是非とも二人に参加して欲しいな~何か予定はあるかい…?」
豪快に笑いながらも、社長に美男美女と言われ…杉崎さんは確かに称賛に値する美男だと言えるが、私は…と考えてしまう卑屈な自分がいた。それとともに、懇親会が予定されていると聞き、密かに落胆の気持ちをおぼえる…さすがに、断ることが出来ないことは私にもわかっては、いたが…。
「とんでもありません、夜も大丈夫です。楽しみにしています…そんなにもお気遣いいただき、すみません。」
杉崎さんは変わらずにそつのない返事をし、その後しばらくお茶を飲みながら会社同士の話をした後、オフィスに場所を変え、社員数名とコラボ商品の売り出し方…宣伝方法などの打ち合わせを始めた。
「お疲れ様です、お茶をお持ちしました。着いたばかりですし、少しは休憩してくださいね?」
話を進めている私と杉崎さんの前に、女性社員の一人がお茶を出してくれる。
「ああ…ありがとうございます。」
杉崎さんの優しい声とその表情に、その女性社員がぽうっと頬を赤らめたのがわかった。
いつも、こうだ… 杉崎さんは無自覚に女性を引き付ける…。
私は複雑な気持ちをおぼえながらも、初めての出張でのノウハウを余すことなく吸収したい一心で、目の前の仕事に励んだ…。
0
お気に入りに追加
223
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる