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~智花~

違和感

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私はクロワッサンをトースターで温め、珈琲を抽出しながらもやっぱり朝食を…彼に…三橋君に簡単に出してあげても良かったなとふと、考えていた…

それとほぼ同時に、いやいや、やっぱり今日はあまりに時間がない…またの機会にゆっくり作ってあげたほうが喜ぶだろうと思い直した自分自身の思考に、驚く…

なんで、またの機会になどと、思ったのだろう…

昨夜のあれは、酔った勢いだ…
あくまで、一夜限りの過ちだ。

三橋君にとっても、そうに決まっている… 
職場にいた身近な女…いくつも年上の女と、ただ一夜限りで、遊ぼうと思っただけ…
単なる遊びに過ぎない…

まさに、瑠衣ちゃんが話していたセックスフレンドみたいなものだ…感情のない大人同士の…身体だけの関係…

もう、私は彼女を責めることはできない…
心の中で多分無意識に彼女を軽蔑していたが、それすら、できる立場にはない…  

私も、同類だ… 

同じだ… 

寂しくて…

誰かに抱かれたくて…愛されたくて…
私を求めてくれた三橋君に身体を委ねたのだから…

でも… 本当は一つだけ、気掛かりなことがあった…

メイクと着替えを済ませ、私はクロワッサンを齧りながら、ふと、思い出す。

この前、東京に帰省した時…修哉さんと会った時のことを…

その時の修哉さんが、おかしかった…
完全に、いつもと違ったのだ…

いつも私から彼を押し倒し、私主導で進んでいくセックス…その、自分で動いて感じる場所を探すという快楽に喜びを覚えながらも… 心の奥底で虚しさを感じていた…

だけどこの前…
初めてといっても、過言ではない…

修哉さんのセックスが信じられないくらいに激しくて…悪く言うと、かなり一方的で…でも、全然嫌じゃなくて…私は驚きながらも…そのめくるめく快楽に流されるように、この身を委ねた…

いつになく強引に押し倒され、前からも後ろからも…激しく突き上げられた…

その時初めて、女に戻った気がした…
初めて修哉さんとセックスした時のように…私は恥じらいを覚えながらも、彼の激しい抱き方に、何度も快感に達してしまった…

彼とは大人の落ち着いたセックスをしているとさっき三橋君に説明したばかりだが…正確には…あの時だけは違った…

獣のように…荒々しいセックス… 
何が起こっているのか信じられないままに、私はいつになく荒々しい動きをする彼に、身を委ねた… 

もちろん、いつもと比較して、信じられないくらいに興奮したのも事実で、最高に良かったのだけど…

あれは…
あれは一体、
なんだったんだろう…

私が違和感を覚えたのは、あの時だった…

修哉さんが、おかしい…
いつも大人で…冷静なセックスしかしてこなかった彼が… なんで、あんな… ?

彼が、どうして突然そうなったのか…
彼が、内心で何を考えているのかわからない…
そんな彼の中に、私は明らかに異変を感じた…

今度会った時に…
やっぱり彼の様子が変だったら…こちらから、確かめてみてもいいのかもしれない…

「…、そろそろ、行かなきゃ…」
私は独り言を呟きながら、

     コーヒーを飲み干した。















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