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~智花~

略奪

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「そっか… そういう、状況なんだね…」

もはや、瑠衣に何と言ってあげればいいのかわからなくなる。

遠距離とはいえ、現在進行形で彼女持ちの男が、瑠衣と身体の関係を持った…そして、瑠衣自身もその男に…その相手に彼女がいることがわかっているのに、相手に
身体の関係を持ち掛けた…?

最初は瑠衣から…なのだろうか…?
今の話の流れからすると、瑠衣からに違いない…
何度も自分の方から押したと、言っているくらいだから…

わかる…
今の瑠衣の気持ち…そして、その状況は確かにわかるが…
その…聞かされた内容に愕然とする自分がいる。
言葉が出てこない… 何を言ってあげるべきなのか、咄嗟にはわからない…
普通の恋愛ではない… 単純ではない… そう、思ってしまったからだ…

「なんか、すみません智花さん…やっぱり私の話、智花さんを驚かせちゃったみたい…ですね…やっぱ話すべきじゃなかったですよね…なんか最近ここが苦しくて…つい、吐き出しちゃいました…」

そう言いながら…瑠衣が自分の豊満な胸元にそっと手を添える。
その表情に、いつもの明るさはない… 
確実に、悩める乙女の顔をしている…  
かなり、その男のことを好きなんだろうとうかがわせた。

だが、ずっと黙っているわけにはいかない…
何か、アドバイスをとも思うが何も浮かばないまま…とにかくも言葉を続ける。
 
「ううん…少し驚きはしたけど、それはちょっと、複雑な状態、だね…相手に、彼女さんがいるなんて…」

独り言のように呟く。

彼女持ちの男に迫り、セックスフレンドという名のもとに男と身体の関係を持ち…
そして心まで好きになったから、相手に思いを告げる… まだ未遂だが、本当は告げたいのだろう…
告白…出来るのかと言えば、できる…もちろん、できはする…

だけど、なんとなく順序を踏んでいない…綺麗じゃない…
略奪に近い…なんとなく、綺麗な恋愛ではないと思ってしまった私が確かにそこにいた…。

私も瑠衣と同じく、肉食女子だという自覚はある…。

普通の女性より性欲が強い…のだと、思う…
見た目も大人しいタイプではなく、どちらかと言えば派手、華やかだと言われ…
古くからの友人にも、同時進行で彼氏が何人かいそうだと、ふざけて言われたこともある…

だけど、中身は違う…

二股なんて…略奪なんて、したこともない…
その時好きな人に、好きだと…
修哉さんが好きだから、好きだと言った、だけだ…

「智花さんは経験ありませんか…?彼女持ちの人を好きになるとか… 」

「ん…昔…学生時代にそういうことはあったけど、やっぱり相手いるんで諦めちゃったな…
今は、そういう状況にないし…」

修哉さんと付き合っている…彼と私は、遠距離ではあるが、ちゃんと、恋人同士だ…

だけど… 最近ずっと、引っかかっていることがある… 
久しぶりに会った時の彼の様子がおかしい…   

でも、やっぱりその場で瑠衣には言えず、結局その日は瑠衣の恋の話に終始した…。













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