【完結 R18】ほかに相手がいるのに

～彼との分離～

限界

嫌だ…聞きたくない…

そんな話、聞きたくないのに…なんで、私はおとなしく、この人の話を聞いているんだろう…　
　
女は私の様子にお構いなしに話を続ける。

「それで～二階に上がって少しして…純粋な高校生を…びっくりするくらいにイケメンで、それでいて遊び人じゃなくて、真面目な修哉の顔、見てたらさ…あ、修哉、今もそうだけどその頃から既に長身で…筋肉もさ、結構ついてて…」

長身…筋肉…　なんで、
そんなことを言うの…　嫌だ…

杉崎さんの、若い頃の…裸を…　
この…さおりという人は…なんで、語るの…
やっぱり、見たから…　？

「もう、はっきり言うとさ、ムラムラしちゃって…女がムラムラってよっぽどでしょう…？高校生男子…年下のくせにどれだけフェロモン出してんのよって感じで…つい、押し倒して…さ…彼の身体に…肌に、触れて…　…それからね…まずは、ね…」

一体、何を思い出したのか…
いやらしく、舌なめずりをする…

獣…　獣の目だ…　
女性なのに…
なんて、獰猛な目を…　しているのだろう…

ピピピピピピ　…　　

警報が鳴る…　　　

もう、ダメ…     限界…

もう、ダメだ…　これ以上、聞きたくない…
これから先はいい…　絶対聞きたくない…　

ガタン…

椅子が音を立てる。

「えっ…！？何、びっくりしたわあ…　」
女が私を見上げる。

考えるより先に立ち上がっていた…
「あ…　あの私、すみませんが用事を思い出して…もう、失礼します…」

「えっ…！？何、いきなり…ねえ、ねえ…！ここからが面白い…　……　ちょっと、ねえ～」

「お会計、お願いします。」

私は後ろから聞こえる女の声を無視し…手早く会計を済ませた。

何…    この感情…   

嫌な気持ちが、
じわじわと心の奥底に流れ込んでくる…

私は戸惑いながらも、足早に店を後にした…