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~彼との分離~

告白

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「そんな見た目って、どんな見た目、ですか…?」

気付けば私はいつになく…
そんな、挑戦的な物言いをその女性に対し、してしまっていた…。

「あら…ごめんなさい…もしかしてあなたの気分を害しちゃった…?他意はないんだけど…なんとなく、修哉の趣味とは違う…というか、かけ離れている気がしたから…」

「 … …杉崎さんの… 趣味… … 」

杉崎さんの趣味…
そんなことは、これまでに聞いたこともない…

好きなタイプとか… そういう…類のものだろうか…
ううん、きっと違う…

勿論この場面…このさおりという女性の「見た目」という言い方からすると、
性格とか…そういうことじゃなく、
身体…身体の身体的特徴のようなものを指しているのは明らかだ…

杉崎さんの好きなタイプ… 趣味…
好きなスタイル…

そう言えば私は、何ひとつ知らない…
杉崎さんがそんな話を私にしてきたこともない…

もし、この女性が言うように、杉崎さんの好みと私とが、かけ離れているということであればきっと… 
胸が大きくて…お尻も大きい人…
つまり、スタイル抜群の女性…この、目の前で微笑む女性のような…

それこそ、林さんのような…同性から見てもパーフェクトに見える女性…
そういう女の人が…杉崎さんの好みのタイプなのだろうか…

それなら私は…
私の貧相な身体はきっと、杉崎さんにとって…魅力的なものではなかったに違いない…
杉崎さんは…私の身体を隅々まで…愛してくれた…
でも…やっぱり、物足りなかったのかもしれない…

「… … … 」
昨夜の色々な場面が頭の中に押し寄せ、また…何も言えなくなる私…
本当に、嫌だ… 
なんで今、私はこんな思いを…  

「ああ…!ごめんごめん、黙っちゃったね… 変なこと言っちゃった、忘れて…!」

「お待たせいたしました、アールグレイをお持ちしました…」
気付けば従業員がテーブル近くまで来ていて、紅茶のカップがテーブルに置かれる。

「あ、ありがと~」その女性は礼を言い、アールグレイを一口、口に含んで、美味しいと呟いた後、私を再び真正面から見つめた。

「あなたが修哉のなんなのか、答えたくないのは十分わかったから、それはもういいわ。ごめんね聞いちゃって…」

「… … いえ… …」

私は一体…こんな場所でわけのわからない女性に捕まって、何をしているのだろう…
冷静に考えるとおかしな話だ…もう、帰りたい…

「すみません、私そろそろ…」

「私ね… 随分昔に修哉と付き合っていたの… ふふ…」

やはりそうか… でも、それはなんとなくわかっていた… 
エレベーターの中での、杉崎さんとこの女性の醸し出す雰囲気、からも… なんとなく…

「時期は、修哉がまだ高校生だった頃よ…彼、今見ても想像つくだろうけど、当時からものすごくカッコいいっていうか…ほんと可愛くってね…」

女が遠い眼をする…
こちらが聞いてもいないのにお構いなしに話を続ける…
これがひょっとして、俗にいう、マウンティングというものなのか…?
私は困惑する…  

私の知らない杉崎さん…
高校生の杉崎さん…若くて、カッコいいのは当たり前だ…今でもあれほどの美貌の持ち主なのだ…
私の胸に…ちくりと…小さな針が刺さりそうになる…

嫌だ… もういい、聞きたくない… 
杉崎さんの過去の、話…杉崎さんから聞くのはともかく…
今この人からは、聞きたくない… そう、思った。
 
「 あの、本当にもう、… 」ガタンと音を立て立ち上がろうとした瞬間、

「私ね…いわゆる修哉の初めての、女…なのよ ふふ…あんまり修哉が可愛くて…お姉さん抑えきれなくなっちゃって…詳しく話してあげるわ… 実は私、家庭教師を… … 」

「… … え… … 」 
いきなり、なんの…告白… ?
何を言うつもりなのだ、この女性は…

私は呆然と…

少し表面が乾き始めた…
まだ手つかずの、フルーツタルトを見つめた…











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