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~見えない境界~

杉崎さんの返事

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杉崎さんはグラスに入った水を飲んでグラスを置き、私を真っすぐに見つめる。

「水無月さん、ごめんね…戸惑わせて、俺ね…」
杉崎さんが言葉を切って一瞬言い澱む…でも、すぐに口を開く。

「…俺、君をからかっているとか、遊びであんなことしたとかそういうことじゃなくて…君のことが…気になってるっていうか…、最近気付けば、君のことばかり考えているし、この前のキス…だって…あれは間違いなく遊びでとかじゃなく、俺自身がしたくて…した…だから本当に、からかってるわけではない…んだ」

杉崎さんの言葉が、私の脳内を駆け巡る… ぐるぐるぐる… 

遊びじゃない、
からかいじゃない…
私のことばかり考えている…
キスは、したくて、した…

その、杉崎さんの発した言葉…キーワードたちが…私の頭の中で…舞い続ける。

「だからごめん…俺のせいだ、君を迷わせて戸惑わせて、挙句の果てに…水無月さんにこんな質問をさせてしまった…」杉崎さんが私から目を逸らして続ける。

「つまり、俺は…彼女がいながら…智花という存在がありながら、君に惹かれている…君より一回りも上のおっさんが何言ってんだって…思われるかもしれない…しかも、君にも彼氏がいるし…でも、それが俺の本音です…ごめん…」

そこまで言い切って、杉崎さんが、やっと珈琲に口をつける。

私は信じられない気持ちで、アイスコーヒーのグラスを見つめた…。

私と同じだ…
私だって、彼氏がいるのに、今、確実に杉崎さんに惹かれている…。
この前の公園での夜は、思わず好きだと…呟いてしまったし、
その後の彼の深いキスで…身体が熱くなった。

そもそも…けしかけたのは私だ…
私が好きなどと言わなければ…杉崎さんだってキスをしてこなかっただろう…。

杉崎さんはきちんと私に、迷いながらも自分の気持ちを説明してくれた…

私も、人に聞くばかりではなくて、きちんと自分の今の気持ちを説明しよう…。

そう決意して、杉崎さんをもう一度見る。

私が本音を言ったら、… 今の関係性が、変わってしまうかもしれない…
でも、それでも構わない。
そう思った…。

私は意を決して、口を開いた。


 









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