【完結 R18】ほかに相手がいるのに

〜杉崎〜

主導権

「あっ…ん、んっ…」

智花が…のけぞるようにして小さく唸る…

俺の上で髪を振り乱しながら、激しく腰を振り続ける…。

俺の腰骨のあたりに手を添えて、何度も何度も…おのれの体を前後左右…上下に、動かしながら、狂ったように喘ぐ。

「あ…あ…っ」
智花の声は止まることを知らない…しかも、段々と大きくなってくる…

腰を激しくスイングし、回転させるように自ら動かしながら、おそらく、自分が良いとおもうところを探りながらの激しい動き… ギシギシときしむベッド…

やっぱり、完全に男女逆転だ…。
主導権は智花にある…

俺は呆然と智花を見上げる。

世間一般の男は、この体位が好きだと、物の本や雑誌に書いてあるのを見たことがある…。

俺は絶対に、そういう話を自らが話すことはないが、職場の男だけの飲み会や、古い友人との飲み会の席でも、確かにそんな話を聞いたことがある。

この体勢だと、男が女の上になって一生懸命腰を振ることなく、
ただ仰向けに寝ているだけ、時々自分がいいように少し腰を動かすだけで楽にセックスができる…だからいいんだと、そんな風に話をしていた俺の友人や同僚。

つまり、女性主導の…
男が腰を痛めることなく比較的楽にできるセックス…なのだとか…

俺はもう一度、智花を見る。

髪を乱して、汗で髪が額や頬に張り付き、表情すらはっきり見ることはできない…

見えるのは、智花のだらしなく開かれた口と…智花が腰を揺らすたびに揺れ動く大きくて迫力のある胸…
みだらな男女の結合部分…

照明がついたままのため、完全に丸見えだ…。

「あっ…あんっ…いい…修哉さん…も…だめっ…」

智花の声が、段々と切羽詰まったような声音に変わる…。語尾が掠れ始めたら…そういう…ことのようだ…。

普通は、『もうだめだ…俺、そろそろイキそう…』
と、男が先に我慢できずに言うイメージなのだが、智花は違う。
大抵いつもこんな感じで…俺は慌てて、そうなるように気分を集中させる…。

女性からしたら、失礼な話だろうか…

きっとそうに違いない…でも、こればかりは仕方がない…俺はいつも冷静で…自分自身がセックスで乱れたことなんて一度もないのだから…

今まで積極的な女性としか付き合ったことがないということもあって、大抵俺が高みまで、無理矢理に連れていかれる… 

ああ… そろそろだ…