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〜お互いの日常〜

夜の雑談

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「涼しくて…いい感じだね…」杉崎さんがブラックの缶コーヒーをベンチ横にいったん置いて独り言のようにつぶやく。

隣に座っていても、もともとの身長差のせいか少し見上げないと、杉崎さんの顔が見えない。

「はい…そうですね。秋に入るこの時期の、涼しさ…いいですよね。」私が彼を見上げながら答えると、

「そうそう…あっという間に10月だね…水無月さんが4月にきてから、半年も経つのか…」
杉崎さんはまた、缶コーヒーにゆっくりと口をつけて、尋ねてくる。

「遠方の例の彼氏さん…とは、うまくいってるの?…同級生だから、話も合うだろうし、一番気を遣わなくて良さそうだよね。」

「…はい…まあ、そうですね…うまくは…いっていると思います。彼からしょっちゅう連絡はあるし、お互いに遠慮はないので好きなこと言いあって、気を遣わなくて済んでます…楽ですね…何でも話せて…」

…何でも話せています…セックス…とかの少しの…不満…以外は…

…私はその言葉をもちろん心の中に飲み込んで、そのように杉崎さんに答えた。

「そっか…いいね、歳が同じとか近いとかって、それだけで、楽な部分あるからね…」
杉崎さんが微笑みながら私を見る。
綺麗な…闇夜に溶け込みながらも、ひっそりと光を携える綺麗な目と…目が合って内心ドキリとしたが、私は咄嗟に目を逸らす。

「ただ、でも…」私は続ける。
「ただ…私、実は…今の彼が…生まれて初めて付き合った…彼氏なんです…だから時々…疑問を覚えたりします。今…彼氏と6~7年間、うまくいってるのって…なんなんだろうって…。

やっぱりそれだけ長く続くのは、きっと彼氏と性格が合うとか、根本的に相性がいいんだろうって、友人には言われたり冷やかされたりはしますけど…本当は自分自身…よく…わかってなくて…。」


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