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葛藤

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あれから…

由良さんとの記念すべき初ハグを、俺は何度も思い返していた。


朝の歯磨き中も、食事中も、下手したら、入浴中も…
彼女の身体は小さく、華奢で、柔らかく、香水なのか柔軟剤なのか、首筋のあたりから花のような良い香りがして…できるならずっと…抱き締めたままで…いたかった…

それと同時に、抱き締めただけでは飽き足らず、彼女の唇を奪ってしまいたい、色々なところに触れたい…そんな危険な衝動にかられていた。もちろん、なんとか理性で、そのどうしようもない男の欲望を抑え込んだけど。

あの夜のことを思い返しただけで…俺のその部分は…ヤバいことになってしまう。
そのたびに、独り身の俺は、気を紛らわしたり、いわゆるそういう動画を観て、自分を慰めていた。

俺は毎日、そんな状況なのに…彼女、由良さんの態度の変わらないこと…この上なかった。

「あ、木下さん!おはようございます~今日も頑張りましょう!」って…元気な挨拶をくれる。
うん…彼女の笑顔はとてもいい、俺も元気になれるし、その笑顔に救われる… 
でもさ…もう少し…意識してくれよって、思ってしまう自分もいる…

俺は仮にも、独身男…今、彼女もいない寂しい男だ。
そんな男に、由良さんみたいな魅力的な女子が、ハグだの、キスだの、求めて…というか、けしかけてきて…さ。

一部だけ接触を許されて、その先はアウトー…みたいな状況…これってもしかして…健康な男にとっては軽く、拷問…みたいなもんじゃないだろうか… とか、考えてしまう自分もいる。

それでも…好きなんだ…彼女がここに来た3年前から…ずっと。
当時の彼女に興味をなくしてしまうほど、俺の心にじわじわと…侵食してきた由良さん。

なんで…人妻…なんだろう… 

彼女が結婚していなければ…俺はきっと、彼女にもっと…接近していた…

二度目のハグは、いつになるかわからない…

そしてその行為が、世間的にも倫理的にも本当は許されるものではないことを自覚しているけど…彼女が俺に求めてくるのなら…もはや俺からは止められない…むしろ、その先を…更に求めてしまう自分がいる。果たしていつまで…自分の欲求を、セーブできるだろうか…

もしも仮に、彼女の家庭が崩壊しているなら…早くに決断し、彼女がいっそ、自由になればいい…

そうしたら俺は迷いも、誰に対しての遠慮もなく、彼女に告白しその先をも望むことができる…

      誰か…助けて欲しい…

こんな葛藤を今までに味わったことがない俺は

毎日、何事もないように俺に普通に接してくる由良さんに、一種、いら立ちを覚え始めていた…

                                      つづく。




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