上 下
26 / 70
ウェンリーだけが

しおりを挟む
俺はハンスに今日されたことを…包み隠さず、ウェンリーに報告した。

この男は、俺が嘘をつくと…国外追放と言いやがった…。
女を…一応、いいとこのお嬢様であろうリンス…しかも、女を…追放だと…?
冗談なのか…本気で言っているのか、区別もつかない…。

つまり…うすうす感じていたがこの男に…それ位の権力があるということ‥

結婚したら俺より良い条件は他にはないと言い切った男…

もしかすると、国王貴族…? とか、もしくはその一族なのかもしれない…。

ここで俺がつまらない小手先だけの嘘をついて…

マジで国外へ追放されたらたまったもんじゃない…そもそもここがどこの国かもいまだにわかっていない状況で、
このまま女の格好で一人、放りだされたら…マジでヤバい…

だからこそ、詳細に話した。
キスのことも…乳もみもみのことも…
あと、ハンスの告白めいたのものについても、ハンスには悪いが、本当に詳細に…

「…ほう、…キスと、胸への接触… それと…愛の告白…か… … 」
ウェンリーは腕組みをしたまま、今度はさらに長い脚をゆっくりと組みかえる。

「…ハンスの奴、…ついに、強行に出たな…」そう、独り言のように呟き、
ウェンリーが突然、俺をまっすぐに見つめる。

碧色の…綺麗な瞳が、真っすぐに俺を… 

ドキリと、心臓がなる。

「おまえ…いや、まなと…よく、本当のことを話してくれたな…えらい…、とりあえず国外追放は、なし…」

ふんわりと微笑む…

心からホッとする…良かった…マジで…

ハンスには悪いが背に腹は代えられない… 
後でちゃんと理由を説明するから、とりあえず許して…俺は心中で、ハンスに謝る。

「…おや、あからさまにホッとしてるみたいだが…そんなに嬉しいか…?ちなみに国外追放はなしにするが、結婚は決行するぞ… 言いにくいな…予定通り、結婚・決行…」

そう、小さな声で囁きながら、奴が突然、がたんと音をたてて椅子から立ち上がる。

なんだ…いきなり… ビビった… 
「……え…?けっこう…?」俺は思わず、奴を見上げて間の抜けた声を出す。

「そうだ…結婚は絶対、だ… 」言いながら、さらに俺に近付いてくるウェンリー。

「…結婚前にハンスにその唇を奪われるとは… やってくれたな…リンス…いや…悪いのはハンスだが…まなと…おまえも、隙があり過ぎなんだよ…」

突然、俺は…ウェンリーの大きな手によって、強引に椅子から立ち上がらせられる…

「う…わっ!! な…何…っ!!」 
心臓がバクバクと音を立てる…なんだなんだ…それ以上近付くなよ…

「…お仕置きが…必要だな…リンス…いや、まなと… まあ、どっちでもいい…とりあえず…」

ウェンリーが俺を…今となっては俺の…華奢過ぎる身体をひょいと…いとも簡単にその逞しい腕で抱え上げ…

俺が寝ていたデカいベッドに、まるで荷物のように…乱暴に落とす… 
「わっ!…」  
いちいち怖い… なんで、こんな…  

ギシッ…ギシッ… ベッドが…突然の重みに、うなり声を上げる…。

「 … え… な…何を … …」
俺の言葉がまるで聞こえないかのように強引に上にのしかかってくる俺より一回りも二回りも…大きな男…

「…何って…お仕置き、だよ… 俺との結婚前に、他の男と…なんてことをしてくれるんだ…全く…」


   そんな…

キスだって…乳…揉まれたのだって、俺が好んでしたわけじゃない… のに… 何、怒ってんだコイツ…

「や…やめろ… おかしなことを考えるな…俺は、…さっきも言ったが男…、ん、ぅっ…!!んー…っ!」

抵抗しようとする華奢過ぎる腕は簡単に、奴の手によって押さえつけられ、

俺の唇は瞬く間に、ウェンリーに塞がれていた…


   「んっ…んっ… ふ、んんーっ…」

    俺は口を塞がれたまま、叫んだ…
  
   

本日二人目… 男とのキス…  

俺の人生、これからどうなんの…

俺の質問に…残念ながら答えてくれる奴は

      この世界の…

      どこにも…いなかった…
   








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)
ファンタジー
 男♂だったのに、転生したら転性して性別が女♀になってしまった! しかも、乙女ゲームのヒロインだと!? 男の記憶があるのに、男と恋愛なんて出来るか!! という事で、愛(夜の営み)のない仮面夫婦バッドエンドを目指します!  主人公じゃなくて、勘違いが成長する!? 新感覚勘違いコメディファンタジー! ※現在アルファポリス限定公開作品 ※2020/9/15 完結 ※シリーズ続編有り!

クラスの仲良かったオタクに調教と豊胸をされて好みの嫁にされたオタクに優しいギャル男

湊戸アサギリ
BL
※メス化、男の娘化、シーメール化要素があります。オタクくんと付き合ったギャル男がメスにされています。手術で豊胸した描写があります。これをBLって呼んでいいのかわからないです いわゆるオタクに優しいギャル男の話になります。色々ご想像にお任せします。本番はありませんが下ネタ言ってますのでR15です 閲覧ありがとうございます。他の作品もよろしくお願いします

わざとおねしょする少年の話

こじらせた処女
BL
 甘え方が分からない少年が、おねしょすることで愛情を確認しようとする話。  

ハメられたサラリーマン

熊次郎
BL
中村将太は名門の社会人クラブチーム所属のアメフト選手た。サラリーマンとしても選手としても活躍している。だが、ある出来事で人生が狂い始める。

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

逆転世界でヘイトを溜めて犯されよう!〜貞操逆転世界で犯されたいリメイク版〜

腹筋パンダ(出張)
恋愛
早乙女隼人(さおとめはやと)は女に犯されたい願望を持つMな高校2年生。めちゃくちゃイケメンだが童貞だ。あほな事故で貞操が逆転した世界に迷い混んでしまう。貞操が逆転した世界だと分かった彼は思う。「夢の逆輪姦…いや輪姦して貰えるのでは?」と。 この世界で犯されるのは簡単だ。さてどのようにして女の子に犯されよう… メインはノクターンノベルズで投稿しています‼️ */寝取られは嫌いなので絶対にありません(断言) 私が好きだった(この作品を書いていた)作家さんが突然投稿をやめてしまわれたので、後を引き継ぐ形で投稿しております。 土曜日と日曜日の投稿でやっていきます。 よろしくお願いします! 是非ブクマと評価お願いします‼️ Twitterもやってますのでぜひそちらも覗いてみてください‼︎

☆男女逆転パラレルワールド

みさお
恋愛
この世界は、ちょっとおかしい。いつのまにか、僕は男女が逆転した世界に来てしまったのだ。 でも今では、だいぶ慣れてきた。スカートだってスースーするのが、気になって仕方なかったのに、今ではズボンより落ち着く。服や下着も、カワイイものに目がいくようになった。 今では、女子の学ランや男子のセーラー服がむしろ自然に感じるようになった。 女子が学ランを着ているとカッコイイし、男子のセーラー服もカワイイ。 可愛いミニスカの男子なんか、同性でも見取れてしまう。 タイトスカートにハイヒール。 この世界での社会人男性の一般的な姿だが、これも最近では違和感を感じなくなってきた。 ミニスカや、ワンピース水着の男性アイドルも、カワイイ。 ドラマ やCM も、カッコイイ女子とカワイイ男子の組み合わせがほとんどだ。 僕は身も心も、この逆転世界になじんでいく・・・

処理中です...