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~杉崎~

最後の

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俺は、空港から地下鉄で天神へ向かっていた。

天気も良く、土曜日だからかどこもかしこも人だらけだ。

俺は、アプリで地図を確認しながら、智花と約束したカフェへ向かう。

本当は、お茶だけで良いと思っていた。
実際に、智花にもそのような雰囲気で伝えたのだが…
久々に会うのだからお洒落なお店で美味しいランチでもしましょうと智花に言われてしまうと、とても、断れなかった。

智花には…
俺が、何の用件でわざわざ福岡に行くのか、理由は伝えていない。
電話で、直接会って話をしたいと伝えたが、智花も電話の中で、敢えてその内容を聞くことはしなかった。

きっと、薄々…俺が智花に何を話そうとしているのか、気付いているだろう…。

「… ここ、だな… 」

レトロな雰囲気…煉瓦作りの古風な建物だ… 
確か、前に水無月さんが…こんな感じの建物が好きだと言っていたような気がする。
もし、連れてきたら…彼女はとても喜びそうだ… 

     俺は、ハッとする…。

もう、本当に、重症だ…いや、酷い男だな…。
今付き合っている彼女に…智花に別れ話をするために、ここに来たというのに…。

どうしても、俺の心の中に、彼女がいる… 
もはや、彼女しかいないのだ… 

どんなに細野さんが、色々画策しながら俺に好意を寄せてこようと…
智花が、どんなに分別のある、魅力的な大人の女性であろうと…

俺は、あの…
少し、不器用な…でもそれでいて他人思いの…いつも一生懸命な水無月さんと、一緒にいたい…。  

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