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~不安~

彼女

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「あっ… …」

お手洗いを出た瞬間、思わず息を飲む…。

細野さんが、少し先の廊下から、こちらに向かってきていた。

いつもの、女性らしいスタイル…
カツカツと… ハイヒールを鳴らす軽快な足音と…
明るい色の柔らかそうなスカートが、少しずつこちらに近付いてくる…。

数日前…

あの場所で… 

あのようなことを言われ…もう、正直なところ顔も見たくない…関わりたくない…。
それ以降、彼女と職場で一度も顔を合わせていなかった私は緊張しながらも、ぺこりとお辞儀をしながら横を通り過ぎようとした…。

「あ… の、水無月さん… 」

「えっ、… …」すれ違いざま、声を掛けられドキリとした…。

今度は、どんな言葉を浴びせられるのか…
まるで、無意識に身体全体が硬直するかのような緊張が走る…。

「… … …」
声を掛けてきたのは彼女の方なのに…なぜか、彼女はすぐさま黙り込んで、下を向いてしまった。

何を考えているのか、わからない…。
怖い… 嫌だ… この人は、やっぱり苦手だ… 
早く、話を聞いて、早くこの場を去ってしまいたい… 
そう思った私は、思い切って自分から話を促した。

「…あ、の… な… なんでしょう… 」じっと、彼女を見つめる…。

「… あの… この、前は… 」

「… は、…はい… 」… 彼女が何を言おうとしているのか、怖くて仕方ない…。

「… この前は、あの…ちょっと言い過ぎたかなって…後で…私…」声が小さくなる…。

「…え… は、い…?… 」いつになく、もじもじした彼女の様子が、逆に怖い…。

「後で…あの言い方は、ひどすぎたかなって思って… その… 」彼女がやっと、こちらを向いた。

「はい… 」

もしかして、あの日、私に言ったことを後悔して…
彼女は、私に謝ろうとしているのかもしれない…。

そう、思った矢先… 
       
  すぐに、私の考えは打ち砕かれた…。









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