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~就寝~
尋問
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「あ… たく、み… 」
声が…震えるのを止められない…
拓海の視線が痛い… でも、目を逸らすことができない…
「… 葉月 …?」さらに、低くなる拓海の声…。
夢だ… 今のは…今のは全て、夢だった…。
給湯室で…
私は杉崎さんと静かに…密かに、話をしていた…。
杉崎さんが、いつになく私の方に積極的に、近づいて来たため…
細野さんに見られないかドキドキしながらも…
私は…杉崎さんと話すことに胸を躍らせながら… 嫌だと言いながらも…
内心、嬉しい気持ちを抑えながら… あんな場所で… キスを…受け入れた…
もちろん、そんな場面を、人に見られるわけにはいかない…。
夢であったことに心から安堵する…。
だけど…
まさか、今… 私は夢で…
もしかしたら夢で… 「杉崎さん」と…彼の名前を何度も呼んだのと、同じように…
声を…現実に…?
声を…出してしまったのだろうか…
拓海の前で…杉崎さんの名前を…?
もしくは何か、言ってはいけない言葉を…発してしまったのだろうか…
「… 葉月… おい…聞いてる…?まだ、寝ぼけてんのか… 」
上から、拓海の声がする…。
「… ん … 寝て、た…けど……」声が、小さくなる…。
さきほど、拓海は私に何を言ったのかと…
暗く…いつもより険しい表情で、聞いてきた…。
やはり… 私は、発してしまったのではないか…
杉崎さんの名前を…
しかも、キスを…
強く抱き締められ…激しいキスをされているさなか…杉崎さん、人が見るからやめてください…みたいな、ことを…
私は何度も…口にした…
「… 夢…見てたのか…?なんか、うんうんって…うなされてた、ぞ… 」
「…そ… う…?… 」
拓海がどこまで聞いていたかわからない…。
でも仮に…拓海の前で、私が何度もねぼけて彼の名前を囁いていたとしたらきっと、拓海は…疑う…。
杉崎さんと私の仲を… きっと、疑うだろう…。
拓海はいつも、杉崎さんの前で…対抗意識みたいなものを燃やしていた…。
杉崎さんがさほど気にしていないにもかかわらず…彼の前で…何かとおかしな…少し自意識過剰ともとれる発言をしていた…。
ずっと、同じ男として…彼のことを意識…気にしていたのかもしれないと今になって、思う…。
でも…別れの原因を、杉崎さんのせいにするわけにはいかない…
このまま、なんとか誤魔化すしかない…。
私は精一杯の自然な態度を装い、まだ私の上にいる…両側に手をついて、じっと私の顔色を伺っている拓海に、声を掛けた。
「…起こしてごめん…なんか、変な夢、見てたかも…もう寝よ、拓海… 私眠い…」
「… … … 」拓海がじっと、私を見据える…
沈黙が怖い…
「…拓海… ?」
「… 変な夢って、なんだよ… 」
「え…っと… その…よく覚えてないんだけど…、怖い…夢…みたいな… 」
「嘘、つけ…おまえ…色っぽい顔で喘いでたよ…俺にキスされて…嫌がりながらも、恍惚とした…やらしい表情してた… 」
拓海がキスを…さっきの夢の中のキスは、拓海が… ?
私は動揺する…。
「 … そ… そんな、わけ…」思わず、声が震える…。
「んで…葉月…おまえはさ…あろうことか、俺じゃなく……別の奴の… 別の男の名前を、呼んだ…」
ぼそりと、拓海が呟く…。
「え… … 」
まさかと、思ったが…
同時に…
やはり…そうかと思う自分が、そこにいた…。
「おまえは、確かに口にした…キスの最中…アイツ…杉崎って男の名前を…まさか…おまえ…俺に隠れてあの男と…だからいきなり…俺と、別れようとか…言い出したのか…?…俺と別れて、あのオッサンに乗り換える気か…?」
「あ… … … 」
「… 答えろ、葉月…」
「… … … 」
何を、言えばいい…?
どう…誤魔化せばいい…? 声が、出ない…
「…なんだよ、その表情…… まさか… 出張先でも… おまえ、…あの男と…?」
これは、尋問だ…
身体の両側には、拓海の逞しい腕が柵のように下りていて、完全に塞がれ、逃げることができない…。
見たこともない、拓海の顔が… あまりにも怖くて…
私は思わず、拓海から視線を逸らした…。
声が…震えるのを止められない…
拓海の視線が痛い… でも、目を逸らすことができない…
「… 葉月 …?」さらに、低くなる拓海の声…。
夢だ… 今のは…今のは全て、夢だった…。
給湯室で…
私は杉崎さんと静かに…密かに、話をしていた…。
杉崎さんが、いつになく私の方に積極的に、近づいて来たため…
細野さんに見られないかドキドキしながらも…
私は…杉崎さんと話すことに胸を躍らせながら… 嫌だと言いながらも…
内心、嬉しい気持ちを抑えながら… あんな場所で… キスを…受け入れた…
もちろん、そんな場面を、人に見られるわけにはいかない…。
夢であったことに心から安堵する…。
だけど…
まさか、今… 私は夢で…
もしかしたら夢で… 「杉崎さん」と…彼の名前を何度も呼んだのと、同じように…
声を…現実に…?
声を…出してしまったのだろうか…
拓海の前で…杉崎さんの名前を…?
もしくは何か、言ってはいけない言葉を…発してしまったのだろうか…
「… 葉月… おい…聞いてる…?まだ、寝ぼけてんのか… 」
上から、拓海の声がする…。
「… ん … 寝て、た…けど……」声が、小さくなる…。
さきほど、拓海は私に何を言ったのかと…
暗く…いつもより険しい表情で、聞いてきた…。
やはり… 私は、発してしまったのではないか…
杉崎さんの名前を…
しかも、キスを…
強く抱き締められ…激しいキスをされているさなか…杉崎さん、人が見るからやめてください…みたいな、ことを…
私は何度も…口にした…
「… 夢…見てたのか…?なんか、うんうんって…うなされてた、ぞ… 」
「…そ… う…?… 」
拓海がどこまで聞いていたかわからない…。
でも仮に…拓海の前で、私が何度もねぼけて彼の名前を囁いていたとしたらきっと、拓海は…疑う…。
杉崎さんと私の仲を… きっと、疑うだろう…。
拓海はいつも、杉崎さんの前で…対抗意識みたいなものを燃やしていた…。
杉崎さんがさほど気にしていないにもかかわらず…彼の前で…何かとおかしな…少し自意識過剰ともとれる発言をしていた…。
ずっと、同じ男として…彼のことを意識…気にしていたのかもしれないと今になって、思う…。
でも…別れの原因を、杉崎さんのせいにするわけにはいかない…
このまま、なんとか誤魔化すしかない…。
私は精一杯の自然な態度を装い、まだ私の上にいる…両側に手をついて、じっと私の顔色を伺っている拓海に、声を掛けた。
「…起こしてごめん…なんか、変な夢、見てたかも…もう寝よ、拓海… 私眠い…」
「… … … 」拓海がじっと、私を見据える…
沈黙が怖い…
「…拓海… ?」
「… 変な夢って、なんだよ… 」
「え…っと… その…よく覚えてないんだけど…、怖い…夢…みたいな… 」
「嘘、つけ…おまえ…色っぽい顔で喘いでたよ…俺にキスされて…嫌がりながらも、恍惚とした…やらしい表情してた… 」
拓海がキスを…さっきの夢の中のキスは、拓海が… ?
私は動揺する…。
「 … そ… そんな、わけ…」思わず、声が震える…。
「んで…葉月…おまえはさ…あろうことか、俺じゃなく……別の奴の… 別の男の名前を、呼んだ…」
ぼそりと、拓海が呟く…。
「え… … 」
まさかと、思ったが…
同時に…
やはり…そうかと思う自分が、そこにいた…。
「おまえは、確かに口にした…キスの最中…アイツ…杉崎って男の名前を…まさか…おまえ…俺に隠れてあの男と…だからいきなり…俺と、別れようとか…言い出したのか…?…俺と別れて、あのオッサンに乗り換える気か…?」
「あ… … … 」
「… 答えろ、葉月…」
「… … … 」
何を、言えばいい…?
どう…誤魔化せばいい…? 声が、出ない…
「…なんだよ、その表情…… まさか… 出張先でも… おまえ、…あの男と…?」
これは、尋問だ…
身体の両側には、拓海の逞しい腕が柵のように下りていて、完全に塞がれ、逃げることができない…。
見たこともない、拓海の顔が… あまりにも怖くて…
私は思わず、拓海から視線を逸らした…。
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