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深いため息

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「そこ…座って待ってて…」
俺が言うと、素直に圭一がソファーに腰掛ける。

「圭一、おまえ、お腹空いてたりする…?」
冷蔵庫を開けながら、背後の圭一に声をかける。

「…いえ、全然…大丈夫です、夕飯は済ませてきたんで…」

「…そっか…じゃあ、コーラ…飲むか…?俺も喉乾いたし…たまには俺も、コーラ飲も…」

冷えたコーラを庫内から取り出し、グラスに氷とともに注ぐ。

食料棚から、つまみを探す。
圭一の好きなポテチとチョコレートとアーモンド…
ちょうどよい甘辛セットを発見したので、袋ごと取り出し、コーラとともにお盆に載せる。

「ほら。」

「ありがとうございます…すみません先輩…結局俺、押しきっちゃいました」

圭一が、悪いと思ってもいないようなよくわからない表情で、そう口にする。

「んー…いや、いいんだ…俺も明日は講義ないし、予定は夕方のバイトくらいだから…。」

俺はなんとなく、圭一の隣ではなく真向かいに座り、冷えたコーラをひとくち、口にする。
公園の時からずっと緊張のしっぱなしで、喉がカラカラに渇いていたから…コーラはものすごくうまかった。

「それにしてもおまえ…なかなか用意周到だな…まさかの平日に泊りの計画とか…」
俺がそんな風に冗談めかして言うと、

「だって、平日ど真ん中にガッコー休みとか、滅多にないですもん…だから先輩と一緒にいるチャンスだって、思っちゃいました…。最近土日は模試とかあってなかなかこれないし…」

そう言いながら、圭一がコーラに口をつけ、俺を正面から見据える。

圭一の目の奥が、少し妖しく光った気がして、すぐに目を逸らす。

「そうだな…この時期の高校生は模試三昧だよな…おまえにとって大事な時期だ…真剣にやらないとな…」俺は独り言のように呟く。

「はい…まあ…でも俺にとってはまあ、大したことじゃないです…ってか俺、こう見えて先輩と会わない時にはメチャメチャ頑張ってんすよ…?
今までバイトに入っていた時間はほぼ課外授業だし、場合によっては図書館とか行ってますし。」

圭一が、なんとなく自慢気だ…。

でも俺は、コイツのこういうところが割と好きだったりする…頑張ってる時は頑張ってるって隠さずに言って、最後は褒めて褒めてー…ってそんな感じ…

ホント、犬コロみたいだ…かわいい奴…
そんな風に思いながらぼんやり圭一を眺めていると、

「先輩…ってか、俺今はそんなん、どうでもいいです…今日はなんで、あんなヤバい場所に寺崎先輩と二人でいたんですか…?暗くて…人通りも少ない場所…先輩、…こんなこと言いたくないですけど、マジで、…」

圭一がそこまで言って、突如グラスの中のコーラを、一気飲みする…。
カランカランとグラス内で氷がぶつかり合う音…。

「もうやだ…俺、 は~~ ……」

続きを話す前に、

   …圭一が深いため息をつく。

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