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学業第一

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「じゃ…先輩!昨夜からお世話になりました…すごく…名残惜しいけど、とりあえず帰ります…」

シュンとしながら、玄関先で圭一が俺に別れを告げる。

朝起きてから…また、圭一に激しく…いやらしくせめたてられ…火照ったままの身体で、なんとか朝食を囲んだ。
まだ…俺の身体の中に…圭一が…いるみたいな…感触が残ってる…

やっぱり、圭一は若い…  
逞しくて…激しくて、熱い… 
ああ…駄目だ…
ふとした瞬間に思い出しそうになりながら、俺はなんとか冷静に答える。

「うん…またな。圭一… あの、マジで勉強頑張れよ!俺と同じとこに受かるつもりなんだろ?おまえなら大丈夫だろうけど、絶対じゃないし、油断すんなよ…とにかく今は、学業第一だ…」

圭一を見上げながら俺がそう告げると、むぎゅっと、抱き締められる…

「うっ…こ…ら…っ…」 
圭一の胸を顔のあたりに押し付けられて息苦しくなった俺が小さく叫ぶと、

「先輩…今後は、ほんっとーーーに!色々、気を付けてください。寺崎先輩にもその…中の悪魔みたいな奴にも…マジでできるだけ、近寄んないでください…俺、…今だって、寺崎先輩に会ったら中身がどっちだとしても…何するかわかんない…お願いだから先輩自身、流されずにちゃんとしてください、指切り!!」

そう言って、小指を差し出す圭一。

「うん…わかったよ…絶対そうする、気を付ける…指切りな…」

男と男が指切り…げんまん…

本来ならとても恥ずかしい図だが、まあ、室内で誰も見てないし、いっか…微笑みながら圭一の長い小指に、自分の小指を絡める…

途端に、指だけで引き寄せられ、バランスを崩した瞬間、唇を塞がれる…

「んわ、んむっ…ん…」

くちゅくちゅと圭一にされるがままに舌を絡められ、少ししてから解放される…

「は…あ…っん、も、…ばか…」

「…約束、ですからね…先輩。
もう、絶対…俺以外の野郎に…身体、触らせないでください…もし、今度またそんなことがあったら…俺、マジで…先輩のこと…滅茶苦茶にしてしまうと思います…あ、もちろん相手は、ぼこぼこに…します…」

圭一の、真剣な眼差し…

熱い視線を正面から受け止めて、俺はゆっくりと頷く。
自分が好きな相手が、自分をこんなにも、好きでいてくれる…こんな幸せが…あるんだと心から思った。

「わかった…本当に気を付ける…から、おまえも全力で頑張れ…!な…」

「はい…じゃあ、先輩…また…」
そう言って、圭一は名残惜し気に俺の身体を離し、ゆっくりとドアを閉める。

またな…圭一…


俺は、やっと決心がついた。

圭一に…あの夜のことを全て包み隠さず…やっと打ち明けることが出来た…
だから今、もう…俺に、怖いものはない…

寺崎に俺の気持ち…

圭一を好きなこと…
だから寺崎の気持ちには答えられないこと…

それらの気持ちを率直に、正直に話してから、寺崎とともに今後のことを考える…

決まっている返事を、むだに長引かせるのは良くないと思った俺は、
   即座に、携帯を手にした。








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