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可愛い奴
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翌日の午後
大学の講義を終えて、バイト先へ向かう。
昨夜は、色々なことが頭を駆け巡り、なかなか眠りにつけなかった。
もちろん、寺崎…いや、シュウらしき人物からのメールには、一切返信せず、無視したままだ。
今後の寺崎に対する対応について考えてみるが、なかなかうまく考えがまとまらない。
当然だ…善と悪が一人の人間に住みついているんだ。
そう簡単に、解決できるはずがない。
俺にとって、シュウはものすごく憎いが、寺崎とシュウの関係性が推測できる今となっては、寺崎自身に対して憎いかどうかと考えると…もはや、そうとは言えなくなってきている。
俺に乱暴したのは確かに寺崎の身体…だが…そこに寺崎の意志はなく、行為はシュウによるもの…
あのことがあってから以降、寺崎に会うのが苦痛…というか怖かったのに…今は…もう正直よく…わからない。
むしろ寺崎が、なんだか不憫に思えてきて仕方がない。
自分の意志に関係なく、何かを、しでかしてしまうかもしれない寺崎の内なる存在…シュウ。
俺はため息をついた…
ダメだ…もはや、考えるのを一旦やめよう。考え続けるのは、きっと精神的にも良くない。
一時的でよいから…思考をストップしよう。
そんな風に頭を切り替え始めた頃、やっとバイト先についた。
「先輩!お疲れ様です!日曜日は、参考書とか色々、ありがとうございました。あれ、すごいわかりやすくて買って大正解でした。ほんと、先輩のアドバイスのおかげです」
太陽のように、屈託ない笑顔で笑う圭一。思わず抱きつきたくなる衝動を、必死に抑える。
どうしちゃったんだ…俺…
今の俺には、あまりに眩しすぎる圭一の笑顔…キラキラしていて、手をかざしたくなるほど…だ。
「良かった。俺も大学受験前に重宝したシリーズの参考書なんだ。また、何か探しに行くならいつでも言えよ、付き合うから。」
俺が言うと、圭一が「はいっ!」と返事をして、ニコニコと笑う。
笑顔かわいい…
耳とシッポふりふりも、もはや最強。
もうダメだ… 俺… どうかしてる…
こんなでっかい犬コロを、オスを…
本当に可愛いと思ってしまう自分がいる。
今もこの大きな身体に抱きつきたくてたまらないし、キスだってしたい、されたい…もちろん、この前の、軽いちゅう、じゃなくて、濃厚なキス…
恥ずかしいけど、こっそり希望してる。
当然、俺の心の声が圭一に届くはずもなく、淡々と仕事をこなす、圭一と俺。
ああ…どうでもいいから、早くバイトなんて終われ…それで、あの公園に直行だ…
俺はいつから、こんな肉食男子になっちゃったんだろう…
今となっては、得体の知れないシュウとやらに、あんな…ひどい目に合わせられるくらいなら…
どんなに怖くても、優しくてかわいい圭一に思い切って身を委ねたらよかった…
圭一に、あの事を伝えたら、どう思うだろう…
果たして、どんな行動に出るだろう…
シュウの存在に気付いたら、なんて言うだろう…
まだ、怖くてとても言い出せない…言いたくない…
圭一が俺から、離れていくのが怖い…
心から、軽蔑されるのが怖い…
色々な感情がないまぜになりながら、
俺は今日もバイト後に、
圭一が待つ公園へ向かう。
大学の講義を終えて、バイト先へ向かう。
昨夜は、色々なことが頭を駆け巡り、なかなか眠りにつけなかった。
もちろん、寺崎…いや、シュウらしき人物からのメールには、一切返信せず、無視したままだ。
今後の寺崎に対する対応について考えてみるが、なかなかうまく考えがまとまらない。
当然だ…善と悪が一人の人間に住みついているんだ。
そう簡単に、解決できるはずがない。
俺にとって、シュウはものすごく憎いが、寺崎とシュウの関係性が推測できる今となっては、寺崎自身に対して憎いかどうかと考えると…もはや、そうとは言えなくなってきている。
俺に乱暴したのは確かに寺崎の身体…だが…そこに寺崎の意志はなく、行為はシュウによるもの…
あのことがあってから以降、寺崎に会うのが苦痛…というか怖かったのに…今は…もう正直よく…わからない。
むしろ寺崎が、なんだか不憫に思えてきて仕方がない。
自分の意志に関係なく、何かを、しでかしてしまうかもしれない寺崎の内なる存在…シュウ。
俺はため息をついた…
ダメだ…もはや、考えるのを一旦やめよう。考え続けるのは、きっと精神的にも良くない。
一時的でよいから…思考をストップしよう。
そんな風に頭を切り替え始めた頃、やっとバイト先についた。
「先輩!お疲れ様です!日曜日は、参考書とか色々、ありがとうございました。あれ、すごいわかりやすくて買って大正解でした。ほんと、先輩のアドバイスのおかげです」
太陽のように、屈託ない笑顔で笑う圭一。思わず抱きつきたくなる衝動を、必死に抑える。
どうしちゃったんだ…俺…
今の俺には、あまりに眩しすぎる圭一の笑顔…キラキラしていて、手をかざしたくなるほど…だ。
「良かった。俺も大学受験前に重宝したシリーズの参考書なんだ。また、何か探しに行くならいつでも言えよ、付き合うから。」
俺が言うと、圭一が「はいっ!」と返事をして、ニコニコと笑う。
笑顔かわいい…
耳とシッポふりふりも、もはや最強。
もうダメだ… 俺… どうかしてる…
こんなでっかい犬コロを、オスを…
本当に可愛いと思ってしまう自分がいる。
今もこの大きな身体に抱きつきたくてたまらないし、キスだってしたい、されたい…もちろん、この前の、軽いちゅう、じゃなくて、濃厚なキス…
恥ずかしいけど、こっそり希望してる。
当然、俺の心の声が圭一に届くはずもなく、淡々と仕事をこなす、圭一と俺。
ああ…どうでもいいから、早くバイトなんて終われ…それで、あの公園に直行だ…
俺はいつから、こんな肉食男子になっちゃったんだろう…
今となっては、得体の知れないシュウとやらに、あんな…ひどい目に合わせられるくらいなら…
どんなに怖くても、優しくてかわいい圭一に思い切って身を委ねたらよかった…
圭一に、あの事を伝えたら、どう思うだろう…
果たして、どんな行動に出るだろう…
シュウの存在に気付いたら、なんて言うだろう…
まだ、怖くてとても言い出せない…言いたくない…
圭一が俺から、離れていくのが怖い…
心から、軽蔑されるのが怖い…
色々な感情がないまぜになりながら、
俺は今日もバイト後に、
圭一が待つ公園へ向かう。
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