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混乱

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俺は愕然とする。

妻に知られていた…
しかも…弁護士を依頼した上での、慰謝料請求。
逃げにくい、内容証明郵便…

恐らく、請求に応じない場合は次の段階として、夏木に対して…もしかしたら俺に対しても、裁判でも…起こすつもりなのかもしれない…

駄目だ…  

きっと、俺と夏木の不貞行為の証拠も揃っているのだろう…。でないと、弁護士がいきなりこんな、確定的なことはして来ないはずだ…

どこかで、写真でも撮られてしまったのだろうか。俺としたことが、全く…気付かなかった…


ああ…   

もはや、全てが終わった…

今日、家に帰るのが恐ろしい…
どんな態度で直美が俺に接触してくるのか、考えるだけで恐ろしい…

そうは思いながらも、若い夏木を、さらに動揺させるわけにはいかない…
俺は夏木に冷静な態度でこう伝えた。

「ごめん、夏木さん…これは間違いなく妻だ。
でも、俺がきちんと話をして、こんな請求はすぐに取り下げてもらうから、安心して…君は心配しなくていい。とりあえず今日は帰るけど、きっと大丈夫…俺に任せて…また落ち着いたら連絡するから、それまでは会わないでいよう…」

何が…?
どこが、大丈夫なのか…
いつ、落ち着くというのだ、一体…  

ああ…
自分で言っていおいて…実は、自分も、わからない…
どうする…
   どうしたら… ?
駄目だ…今は…今すぐには頭が、回らない…

「…でも、怖いです…どうしよう私…こんな大金…私…私…」

夏木が、今にも泣き出しそうな顔をする…
まだ、20代そこら…やはり、この事態についていけないのも無理はない… 
俺ですら…頭が、混乱中なのだから…

「うん…わかってるから…もう少しだけ待ってて…」
なんとか声を絞り出し、夏木の頬を撫でる。

「はい…」涙目で頷く彼女…

俺と彼女はその後、短いやり取りを済ませ、
俺は足取り重く、自宅へ向かった…

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