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ユキちゃんの場合2

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 「膝、寒いでしょ。俺の上着でごめんだけど膝に掛けておきな。
正直、今すぐこの白い肌に触れたいが、こういうのは関係をいい感じにしてからじゃないと警戒されてしまうことを、俺は知っていた。
てか、ちょっと考えたらわかる。
恋人相手でも、二人きりの場所以外では触れない。
触れても手をつなぐとか、目線を合わせたり。
このくらいがちょうどいいのだよ。
なぜかって?
まあこのまま見ててよ、きっと俺が言ってる意味も分かると思うんだ。
照れながら俺の上着を膝に掛けるユキちゃんはめちゃくちゃ可愛い。
今すぐ食べたいくらいだ。
大衆居酒屋に連れてきたから人が多く、店内はがやがやしていて会話がちょこちょこ聞こえにくいけど、これも計算して考えたこと。
声が聞き取りにくいし、カウンター席なので自然と顔や体が近くなる。
「白井さん……。顔……近くないですかネ……」
「近い方が、ユキちゃんの声聞き取りやすいんだよね。近いと嫌なら離れるね」


 ユキちゃんのために、と思って受け入れたこの行為が。
いつしか自分のためになっていたと気づいたときには、色々失っていた。
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