レンタルおかんと私

関塚衣旅葉

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不調

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 久しぶりに心の方から具合が悪いって言われ、まともに仕事できないって思ったのでお休みをさせてもらった。
来月でやめさせてって話をしたら、いろんな人から何があったとか、やめたあとどうするのとか、あれこれ言われて、色んな選択肢をくれるけど、そんなことしたら困る人が出るよ、みたいなのもあってね。
「だからおかんに相談なんだけど」
去年ぶりなのでまた初めましてのおかんに相談している。
「やめるならその人たちの話を聞かずに止めた方がいいわよ。あたしの先輩おかん達がそうしたようにあんたも、辞めるって決めたならその時がきたら終わりでいいのよ」
そうだよね、でもそう言ってくれても、実際仕事がある日は多分毎日のように会社の人にあれこれ聞かれるんだろうなとか、早く辞めないかなこいつって思われてるのかなって。
なんだか、不安と、どこまで今いる子達に仕事を覚えさせてから辞めればいいかも分からないし。
色々と考えちゃってね。
「考えすぎて寝れなくなって具合悪くなってるなら考えるのやめな! 」
おかんは頭をぽんぽんってしてくれた。
「あたしは、あんたのことをあんまり知らんけどな、多分よく頑張ったんだと思うのよ。カルテも見たからなんとなくだけどさ」

 そう、レンタルおかんは利用者の状況を書いたカルテがあるから何度か呼ぶとあれこれ知ってくれた状態でおかんが来てくれる。
「ありがとう、わたし、だめじゃないのかな。頑張ったのかな。5年間やり切れたかな」
おかんは勤務中だけどベランダでタバコを吸いながら、「頑張ったわよ、大丈夫だから休みなさい」
って言ってくれたので、もう一眠りしよう。
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