出会いの季節

関塚衣旅葉

文字の大きさ
上 下
3 / 4

転職活動中

しおりを挟む
 この会社では、頑張れないよ。
そう思った私は、仕事帰りに面接を受けては落ちての繰り返しをしていた。
落ちた連絡が来る度に、死にたくなっていた。
どうせ私が居ても、居なくても。
どこにも必要とされないんだ。
といった気持ちから来るもの。
それを落ち着かせるために、家から歩いて5分の場所にあるラーメン屋さんに行くことにした。
店舗はそんなに広くないし、提供スピードが早いわけじゃない。
でも、何度も行くたびに、この人たちいつも来ているなぁと思った。
食べると安心する醤油ラーメン。
それを求めて、私は今日もまた来ていた。

 「今日は元気そうだな! いつも暗い顔してたから心配してたんだぜ」
そう言いながら、店員さんが醤油ラーメンを運んできてくれた。
頼んでないはずのチャーシュートッピングがされていて、目線を合わせたら、
「いつも来てくれてるからサービス!」
って厨房の中から声がした。
運んでくれた方とは別の店員さん。
「俺もあいつも、お客さんの笑顔のためにこの店始めたんだよ。でも、来る度に暗い顔してるからなにかしたくなってよォ。他のお客さんたちにもやってる事だから気にすんな!」
人の優しさっていいなと思った瞬間だった。
スマホが振動している。
確認すると、昨日受けた会社からの電話。

 「兄ちゃん、これで良かったんか? わざわざ大金支払って、サクラ雇って、毎日あの子のためだけに店やるなんてって思ってたんだけど」
「いいんだよ、ほれ、笑顔になっただろ。チャーシュー後からはすげーんだ! これで安心して動画も投稿できるじゃねぇか。 この後あれだろ、予定通り部屋に連れて帰って、撮影して、みたいな流れだろ?」


来月から新しい会社での勤務が決まり、とても嬉しい。
ラーメンも美味しくて、自然と笑顔になる。
これからは、面接受けないけど、定期的にここに来ようと思う。
私が頑張れたのはこのお店のおかげだし。
明日からも頑張ろっと。

いつものようにお金を払って、お店から出ようとしたが、何故かドアがあかない。
なんで?
「あの、すみません…、ドアがあかなくて…」

そこに居たのは、店員さんではなくて、獣たちだった。


 「兄ちゃん…、本当にいいのかよ。 俺やっぱりまだ捕まりたくないんだけど…」
「はぁ?お前が童貞のまま死にたくないって言うから、わざわざ大掛かりなことやって捕まえたんだろ。俺に出会ったことを感謝しろ、そしてここで捨てちまえ、そんな価値のないもん」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

女の子がいろいろされる話

ききょきょん
恋愛
女の子がいじめらたり、いじられたり色々される話です。 私の気分であげるので、性癖とか方向性はぐちゃぐちゃです、よろしくお願いします。 思いついたら載せてくゆるいやつです。。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】義理の妹と甘い夜

ねんごろ
恋愛
俺には義理の妹がいる。 そんな彼女と過ごす夜の一幕。 どうぞご覧ください。

処理中です...