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鉢の帰還
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「なんで鉢が戻ってるのよ!せっかく外れたと思ったのにいいいい!」
私は寝台の上で、鉢頭を振るってジタバタしていた。鉢が動く事で生じる遠心力によって体が振り回されているともいう。
黒光りする憎っくき鉢は今日も一段と輝いていて美しい。
心なしか以前より色の深みが増したような気がするが、叩き割ってやりたいのは変わらなかった。
そんな私をみて、ルミーナはやれやれと肩をすくめた。
「仕方がないですよ~真実の愛は見つけられてないんだし~」
「そうだけどっ!一度は外れたのよ?見たでしょう、美しい私の勇姿を!美しい私の勇姿を!!」
大切な事なので二回言った。
チラチラとルミーナに目配せをしたが、ルミーナは無言のまま……その完璧なまでの愛想笑いが崩れる事はなかった。くっ!
そう。残念ながら私は自分の姿を見ていない。しかし間違いなく美しかったはずである。
鉢が外れたら、そこから絶世の美女が……!それ位じゃなかったら、鉢なんか被っていられやしない。
こっちはモチベーションを保つだけでギリギリなのである。
「再生しちゃったものはしょうがないじゃないですか。まあ真実の愛なんてなかなか見つからないものですよ~気長にいきましょ、気長に」
あっはっは、とやけに嬉しげなルミーナを睨みつけると、私は重要な案件を問い質した。
「ていうか、王子様はいたの?!私の王子様は!」
途中で気を失ってしまい、目覚めた時にはこの寝台にいたのだ。
まあ、絶対死んだと思っていたので生きているだけでラッキーなのだが……私の傷は確実に内臓に達していると感じていたが、思いの外浅かったようだ。
ルミーナの話では、運び込まれた医院では出血量の割に傷が浅い、と医者が目を白黒させていたとか。
いやー、絶世の美女の上、回復力まで優れているなんて完璧すぎて自分が怖いわー。
優れすぎて鉢まで回復しちゃったけどね!
「イバラの砂が晴れたら、城は忽然と姿を消してしまっていまして~人影は無かったですね~」
「くうううう!絶対に……真実の愛を見つけてやるうううう!待ってて、私の王子様あ!」
私は寝台の上で、決意を胸に拳を振り上げるのであった。
私は寝台の上で、鉢頭を振るってジタバタしていた。鉢が動く事で生じる遠心力によって体が振り回されているともいう。
黒光りする憎っくき鉢は今日も一段と輝いていて美しい。
心なしか以前より色の深みが増したような気がするが、叩き割ってやりたいのは変わらなかった。
そんな私をみて、ルミーナはやれやれと肩をすくめた。
「仕方がないですよ~真実の愛は見つけられてないんだし~」
「そうだけどっ!一度は外れたのよ?見たでしょう、美しい私の勇姿を!美しい私の勇姿を!!」
大切な事なので二回言った。
チラチラとルミーナに目配せをしたが、ルミーナは無言のまま……その完璧なまでの愛想笑いが崩れる事はなかった。くっ!
そう。残念ながら私は自分の姿を見ていない。しかし間違いなく美しかったはずである。
鉢が外れたら、そこから絶世の美女が……!それ位じゃなかったら、鉢なんか被っていられやしない。
こっちはモチベーションを保つだけでギリギリなのである。
「再生しちゃったものはしょうがないじゃないですか。まあ真実の愛なんてなかなか見つからないものですよ~気長にいきましょ、気長に」
あっはっは、とやけに嬉しげなルミーナを睨みつけると、私は重要な案件を問い質した。
「ていうか、王子様はいたの?!私の王子様は!」
途中で気を失ってしまい、目覚めた時にはこの寝台にいたのだ。
まあ、絶対死んだと思っていたので生きているだけでラッキーなのだが……私の傷は確実に内臓に達していると感じていたが、思いの外浅かったようだ。
ルミーナの話では、運び込まれた医院では出血量の割に傷が浅い、と医者が目を白黒させていたとか。
いやー、絶世の美女の上、回復力まで優れているなんて完璧すぎて自分が怖いわー。
優れすぎて鉢まで回復しちゃったけどね!
「イバラの砂が晴れたら、城は忽然と姿を消してしまっていまして~人影は無かったですね~」
「くうううう!絶対に……真実の愛を見つけてやるうううう!待ってて、私の王子様あ!」
私は寝台の上で、決意を胸に拳を振り上げるのであった。
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