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第9章 帝国の人々
第9章-⑦ ブリュールの患い
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この3月、帝国では各方面で情報が錯綜している。
まず3月5日、帝国の最高指導者たるヘルムス総統は、軍の幹部の意見を無視し、メッサーシュミット将軍の解任を一方的に申し渡し、即日、前線へとその通達の使いを発した。将軍の前線指揮はあまりに鈍重、あまりに消極で、彼を信頼することの篤かったヘルムスもついに堪忍袋の緒が切れたというところであった。後任には国防軍作戦本部次長のレーウ中将を大将に仮昇進させて着任させることも添えてある。
その翌日、総統官邸にまさに青天の霹靂と言うべき注進が入った。
「ブリュール県に教国軍現る」
ヘルムス総統と軍幹部らは一同、蒼白な顔を見合わせた。
ブリュール県は帝都ヴェルダンディの西方わずか90kmにある港町で、人口はわずか3万人といったところであろう。その数だけ見れば、帝国の人口930万人の0.3%程度に過ぎないから、取るに足らないように思える。例えばロンバルディア教国の東海岸にあって、三角貿易の一角として栄えるシェーヌ港は30万人以上の人口を誇ったから、規模としてはその10分の1ほどということになる。
だがこの町の戦略的重要性は大きい。
港町と言ったがその性質は貿易港ではなく主に漁港で、アジやイワシといった魚を獲って暮らしている。レガリア帝国領西岸は由来、海岸線が直線的でしかも断崖絶壁が続いて、良港が非常に少ない。ほとんど唯一の例外がクライフェルト川流域のこのブリュール港だったが、南方に隣接するロンバルディア教国が西方海上貿易に力を入れていないこともあって、貿易船の発着はほとんどない。帝国の海上貿易は、領土の北岸において、オクシアナ合衆国とのあいだに盛んである。
だが、ブリュール港の大きな存在意義は、漁港以外に軍港としてのそれが挙げられる。すなわち帝国が西方海域の制海権を手中にするための唯一の根拠地がブリュール港であって、これを失えば帝国は西方海域を失う。西の海岸線が完全に無防備となるのだ。
「一体、何故ブリュールに教国軍の揚陸を許したか!」
ヘルムス総統の怒るまいことか、その怒声は総統執務室から廊下にまで響きわたった。
国防軍最高司令部総長、すなわち現役軍人の最高位であるヨーゼフ・シュトレーゼマン元帥は、太った体に大汗をべたつかせながら返答した。
「報告では、教国軍はブリュール県南のリュマランジュ丘陵からクライフェルト川を渡り、ブリュールへと突入したようです。現地では守備隊が交戦中で情報の整理が行き届かず、敵の数や戦況の優劣も不明です。続報を待つしかないかと」
「愚か者め、続報を待つ時間があるかッ!貴様らが手をこまねいているあいだに、敵はこの帝都まで迫ろうとしているかもしれんのだ。直ちに教国軍を帝国領土から叩き出せッ!」
「しかし手元にあるのは帝都防衛隊の8,000名のみ。これを動かせば帝都はもぬけの殻です。制式部隊である8個軍も、4個は東部戦線、3個は南部戦線、1個はオクシアナ合衆国の参戦に備えて北東領域で防衛任務中です」
「言い訳を求めているのではない、具体的な提案をしろ!例えば帝都防衛隊の半数を副司令官のハプスブルク少将に預けて、敵の兵力、動向、意図などを探らせるとともに、牽制の動きをさせ、その間にいずれかの戦線から戦力を引き抜いて対処すればよいではないか」
「承知いたしました。直ちに動かします」
帝都は時ならぬ出撃命令に慌てた帝都防衛隊が大急ぎで準備を始めたが、指令が下されたのが夜間であったため、召集に朝までかかった。4,000名の兵がそれぞれ宿舎で叩き起こされ、夜中の酒場や愛人の自宅から連れ帰され、おっとり刀で装備を整えて朝には出立した。しかも向かう先は各地の戦場とは反対の西である。
行軍3日目にして、彼らは前方に教国軍と思しき斥候集団を発見した。それらは少数で、威嚇するとたちまち逃げ去った。
ハプスブルク少将は足腰の身軽な斥候を先発させ、本格的な偵察活動を開始して敵の様子を探ると、ブリュール東の原野に陣営を築いて当方を待ち構えている。数は1,000ないし1,200。思っていたよりも少数である。指揮官を探ると、教国軍の第四師団長グティエレス将軍が自ら率いているという。
「グティエレス将軍とはどのような人物か」
ハプスブルクの周囲に詳しい者はいなかった。唯一、下級将校のガイスラー中尉という若者が恐る恐る進み出て、
「ラモン・グティエレス将軍の名は、父から聞いたことがあります。もとはロンバルディア教国の書生で、大学の研究員などをしていたそうですが、数年前はブリストル公国の名将カニンガム将軍のもとに戦術顧問として留学をしていたそうです。カニンガム将軍の病死後に帰国し、内戦の終結後、ロンバルディア女王に招かれ師団長に補せられたと」
「中尉。君の父親は何者かね」
「父はブリストル公国に間諜として潜入しておりました。公国の滅亡とともに、我が国に帰国し、現在は老後の身を養っております」
「なるほどそれなら信用してよかろう。つまりは一兵を指揮したこともない名ばかりの司令官だ。数もこちらが圧倒している。密集陣で果敢に攻め入れば、木っ端微塵にできるだろう。帝都の後背に上陸して我が軍を混乱に陥れようという作戦は悪くないが、惜しむらくは実戦指揮官に人を得られなかったな」
ハプスブルクは尊大に笑った。彼の自信と大言に臆して、ガイスラー中尉は肝心のことを伝えられなかった。グティエレス将軍は確かに師団長になる前は部隊を直接指揮した経験がないが、カニンガム大将は生前、この男をして、
「その嚢中に秘せられし奸智は、鬼謀と称すに値す」
と評していたということを。
ハプスブルクの部隊が威圧するように重厚な布陣と燃えるような気勢を示して接近すると、案の定、数ではるかに劣る教国軍の旗は乱れ、戦う前から逃げ腰になっている。
「やはりあの敵は烏合の衆だ。前線の指揮経験がない将軍が、功名に逸って出てきたはよいが、兵の心をつかめておらん。奴らを皆殺しにする好機だ、突撃せよ!」
帝国軍ハプスブルク部隊は嵩にかかって突進を試み、教国軍はその勢いにたまらず、崩れるようにして逃げた。少なくとも、ハプスブルクにはそう見えた。追撃戦の過程で、追う側の帝国軍は本来の密集隊形から隊列が前後に伸び、やがてその軍が足場の悪い沼地に差し掛かった。この一帯は湿地で、ブリュールに続く道も幅が狭くなり、数人が並べばあとは左右の沼地に落ちてしまうほどの悪路になっている。
折しも、天候は小雨である。視界は不良で、足場も悪い。
戦況の急転は、突如として起こった。
帝国軍の前方で、それまでほうほうの体で背中を見せ逃げていた教国軍がくるりと一斉に向きを変え、槍衾を揃えて反撃に出たのである。それは先ほどまでの敗走していた姿とはまるで別の部隊で、この突然の反転に帝国軍の前衛は戸惑い、戸惑いつつも正面から激突した。だが道は狭く、数的優位を活かせない。陣形を広げようにも左右の泥濘に足を取られては、かえって弓矢で狙い撃ちにされて被害を増やすだけだ。
「敵は狭隘な街道の地形を利して防戦するつもりだ。後方から弓兵の一斉射撃で支援せよ」
帝国軍が狭い街道上で苦心して部隊移動を行っているなか、今度は後方から伏兵が群がり起こって、急襲を加えてきた。この伏兵は、街道脇の林に潜んで、ハプスブルク部隊が完全に通過するのを待って、囮役の味方と呼応して前後から帝国軍を挟撃したのである。
ハプスブルクは前後を遮断され、しかも彼らが把握していた敵の数は誤りであったことに気付いて、敗勢を悟った。敵の数はハプスブルク部隊よりも多く、さらに先ほどまでの勝勢は敵の偽りの敗走に過ぎず、彼らをこの地点まで誘引して、一挙に包囲殲滅せんとしたのだ。
ハプスブルク部隊は大混乱に陥って、じわじわと前後から戦力を削がれるうち、恐慌のあまり沼地に飛び込み、身動きが取れなくなって弓矢に射られる者、雨天の沼で溺れてそのままぴくりとも動かなくなる者などが続出した。
決死の覚悟でハプスブルク少将とともに後方の伏兵部隊を突破した400名ほどのみがかろうじて戦場を離脱したが、それ以外は教国軍の手で殺されるか、捕虜とされた。
ブリュール近郊で交えられた戦いはそのまま「ブリュールの会戦」と命名され、それまでほとんど無名に近かったグティエレス将軍の勇名を知らしめるとともに、帝国軍に深刻な軍事的脅威を与えた。今や帝国は南部戦線、東部戦線、帝都近くのブリュールの三方に敵を抱え、北東領域のミュンスター地方でもオクシアナ合衆国がいつ攻勢に出るか分からないという危機的状況にある。
ヘルムスはわずかな残兵とともに逃げ帰ったハプスブルク少将を見せしめのために処刑し、南部戦線及び東部戦線の各司令部に対し、それぞれ第一軍、第七軍の最高司令部への配置換えを申し渡した。この両軍は即刻、帝都へ帰還し、最高司令部の直接指揮下のもとでブリュール方面に展開する教国軍を徹底的に殲滅すべきこととされた。
烈火のごとき総統の怒りが、前線司令部の幹部らを畏怖させた。とともに、拮抗した戦況のなかから多大な戦力を割いてのち、果たして前線の防衛ラインを維持できるのか、彼らの懸念は大いにその点に集中した。
デュッセルドルフでの奇襲戦に幕を開けた帝国の戦いは、早々に窮地へと陥ったのである。
まず3月5日、帝国の最高指導者たるヘルムス総統は、軍の幹部の意見を無視し、メッサーシュミット将軍の解任を一方的に申し渡し、即日、前線へとその通達の使いを発した。将軍の前線指揮はあまりに鈍重、あまりに消極で、彼を信頼することの篤かったヘルムスもついに堪忍袋の緒が切れたというところであった。後任には国防軍作戦本部次長のレーウ中将を大将に仮昇進させて着任させることも添えてある。
その翌日、総統官邸にまさに青天の霹靂と言うべき注進が入った。
「ブリュール県に教国軍現る」
ヘルムス総統と軍幹部らは一同、蒼白な顔を見合わせた。
ブリュール県は帝都ヴェルダンディの西方わずか90kmにある港町で、人口はわずか3万人といったところであろう。その数だけ見れば、帝国の人口930万人の0.3%程度に過ぎないから、取るに足らないように思える。例えばロンバルディア教国の東海岸にあって、三角貿易の一角として栄えるシェーヌ港は30万人以上の人口を誇ったから、規模としてはその10分の1ほどということになる。
だがこの町の戦略的重要性は大きい。
港町と言ったがその性質は貿易港ではなく主に漁港で、アジやイワシといった魚を獲って暮らしている。レガリア帝国領西岸は由来、海岸線が直線的でしかも断崖絶壁が続いて、良港が非常に少ない。ほとんど唯一の例外がクライフェルト川流域のこのブリュール港だったが、南方に隣接するロンバルディア教国が西方海上貿易に力を入れていないこともあって、貿易船の発着はほとんどない。帝国の海上貿易は、領土の北岸において、オクシアナ合衆国とのあいだに盛んである。
だが、ブリュール港の大きな存在意義は、漁港以外に軍港としてのそれが挙げられる。すなわち帝国が西方海域の制海権を手中にするための唯一の根拠地がブリュール港であって、これを失えば帝国は西方海域を失う。西の海岸線が完全に無防備となるのだ。
「一体、何故ブリュールに教国軍の揚陸を許したか!」
ヘルムス総統の怒るまいことか、その怒声は総統執務室から廊下にまで響きわたった。
国防軍最高司令部総長、すなわち現役軍人の最高位であるヨーゼフ・シュトレーゼマン元帥は、太った体に大汗をべたつかせながら返答した。
「報告では、教国軍はブリュール県南のリュマランジュ丘陵からクライフェルト川を渡り、ブリュールへと突入したようです。現地では守備隊が交戦中で情報の整理が行き届かず、敵の数や戦況の優劣も不明です。続報を待つしかないかと」
「愚か者め、続報を待つ時間があるかッ!貴様らが手をこまねいているあいだに、敵はこの帝都まで迫ろうとしているかもしれんのだ。直ちに教国軍を帝国領土から叩き出せッ!」
「しかし手元にあるのは帝都防衛隊の8,000名のみ。これを動かせば帝都はもぬけの殻です。制式部隊である8個軍も、4個は東部戦線、3個は南部戦線、1個はオクシアナ合衆国の参戦に備えて北東領域で防衛任務中です」
「言い訳を求めているのではない、具体的な提案をしろ!例えば帝都防衛隊の半数を副司令官のハプスブルク少将に預けて、敵の兵力、動向、意図などを探らせるとともに、牽制の動きをさせ、その間にいずれかの戦線から戦力を引き抜いて対処すればよいではないか」
「承知いたしました。直ちに動かします」
帝都は時ならぬ出撃命令に慌てた帝都防衛隊が大急ぎで準備を始めたが、指令が下されたのが夜間であったため、召集に朝までかかった。4,000名の兵がそれぞれ宿舎で叩き起こされ、夜中の酒場や愛人の自宅から連れ帰され、おっとり刀で装備を整えて朝には出立した。しかも向かう先は各地の戦場とは反対の西である。
行軍3日目にして、彼らは前方に教国軍と思しき斥候集団を発見した。それらは少数で、威嚇するとたちまち逃げ去った。
ハプスブルク少将は足腰の身軽な斥候を先発させ、本格的な偵察活動を開始して敵の様子を探ると、ブリュール東の原野に陣営を築いて当方を待ち構えている。数は1,000ないし1,200。思っていたよりも少数である。指揮官を探ると、教国軍の第四師団長グティエレス将軍が自ら率いているという。
「グティエレス将軍とはどのような人物か」
ハプスブルクの周囲に詳しい者はいなかった。唯一、下級将校のガイスラー中尉という若者が恐る恐る進み出て、
「ラモン・グティエレス将軍の名は、父から聞いたことがあります。もとはロンバルディア教国の書生で、大学の研究員などをしていたそうですが、数年前はブリストル公国の名将カニンガム将軍のもとに戦術顧問として留学をしていたそうです。カニンガム将軍の病死後に帰国し、内戦の終結後、ロンバルディア女王に招かれ師団長に補せられたと」
「中尉。君の父親は何者かね」
「父はブリストル公国に間諜として潜入しておりました。公国の滅亡とともに、我が国に帰国し、現在は老後の身を養っております」
「なるほどそれなら信用してよかろう。つまりは一兵を指揮したこともない名ばかりの司令官だ。数もこちらが圧倒している。密集陣で果敢に攻め入れば、木っ端微塵にできるだろう。帝都の後背に上陸して我が軍を混乱に陥れようという作戦は悪くないが、惜しむらくは実戦指揮官に人を得られなかったな」
ハプスブルクは尊大に笑った。彼の自信と大言に臆して、ガイスラー中尉は肝心のことを伝えられなかった。グティエレス将軍は確かに師団長になる前は部隊を直接指揮した経験がないが、カニンガム大将は生前、この男をして、
「その嚢中に秘せられし奸智は、鬼謀と称すに値す」
と評していたということを。
ハプスブルクの部隊が威圧するように重厚な布陣と燃えるような気勢を示して接近すると、案の定、数ではるかに劣る教国軍の旗は乱れ、戦う前から逃げ腰になっている。
「やはりあの敵は烏合の衆だ。前線の指揮経験がない将軍が、功名に逸って出てきたはよいが、兵の心をつかめておらん。奴らを皆殺しにする好機だ、突撃せよ!」
帝国軍ハプスブルク部隊は嵩にかかって突進を試み、教国軍はその勢いにたまらず、崩れるようにして逃げた。少なくとも、ハプスブルクにはそう見えた。追撃戦の過程で、追う側の帝国軍は本来の密集隊形から隊列が前後に伸び、やがてその軍が足場の悪い沼地に差し掛かった。この一帯は湿地で、ブリュールに続く道も幅が狭くなり、数人が並べばあとは左右の沼地に落ちてしまうほどの悪路になっている。
折しも、天候は小雨である。視界は不良で、足場も悪い。
戦況の急転は、突如として起こった。
帝国軍の前方で、それまでほうほうの体で背中を見せ逃げていた教国軍がくるりと一斉に向きを変え、槍衾を揃えて反撃に出たのである。それは先ほどまでの敗走していた姿とはまるで別の部隊で、この突然の反転に帝国軍の前衛は戸惑い、戸惑いつつも正面から激突した。だが道は狭く、数的優位を活かせない。陣形を広げようにも左右の泥濘に足を取られては、かえって弓矢で狙い撃ちにされて被害を増やすだけだ。
「敵は狭隘な街道の地形を利して防戦するつもりだ。後方から弓兵の一斉射撃で支援せよ」
帝国軍が狭い街道上で苦心して部隊移動を行っているなか、今度は後方から伏兵が群がり起こって、急襲を加えてきた。この伏兵は、街道脇の林に潜んで、ハプスブルク部隊が完全に通過するのを待って、囮役の味方と呼応して前後から帝国軍を挟撃したのである。
ハプスブルクは前後を遮断され、しかも彼らが把握していた敵の数は誤りであったことに気付いて、敗勢を悟った。敵の数はハプスブルク部隊よりも多く、さらに先ほどまでの勝勢は敵の偽りの敗走に過ぎず、彼らをこの地点まで誘引して、一挙に包囲殲滅せんとしたのだ。
ハプスブルク部隊は大混乱に陥って、じわじわと前後から戦力を削がれるうち、恐慌のあまり沼地に飛び込み、身動きが取れなくなって弓矢に射られる者、雨天の沼で溺れてそのままぴくりとも動かなくなる者などが続出した。
決死の覚悟でハプスブルク少将とともに後方の伏兵部隊を突破した400名ほどのみがかろうじて戦場を離脱したが、それ以外は教国軍の手で殺されるか、捕虜とされた。
ブリュール近郊で交えられた戦いはそのまま「ブリュールの会戦」と命名され、それまでほとんど無名に近かったグティエレス将軍の勇名を知らしめるとともに、帝国軍に深刻な軍事的脅威を与えた。今や帝国は南部戦線、東部戦線、帝都近くのブリュールの三方に敵を抱え、北東領域のミュンスター地方でもオクシアナ合衆国がいつ攻勢に出るか分からないという危機的状況にある。
ヘルムスはわずかな残兵とともに逃げ帰ったハプスブルク少将を見せしめのために処刑し、南部戦線及び東部戦線の各司令部に対し、それぞれ第一軍、第七軍の最高司令部への配置換えを申し渡した。この両軍は即刻、帝都へ帰還し、最高司令部の直接指揮下のもとでブリュール方面に展開する教国軍を徹底的に殲滅すべきこととされた。
烈火のごとき総統の怒りが、前線司令部の幹部らを畏怖させた。とともに、拮抗した戦況のなかから多大な戦力を割いてのち、果たして前線の防衛ラインを維持できるのか、彼らの懸念は大いにその点に集中した。
デュッセルドルフでの奇襲戦に幕を開けた帝国の戦いは、早々に窮地へと陥ったのである。
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