サランヘヨと言わせて！？〜残念女子とアイドルの留学物語〜

運命的な運命の出会い

自己紹介

※文化の違いを演出するため過剰な表現をしている場合がありますがフィクションです。ご注意下さい。

※以下鉤括弧の説明
「」・・・通常の会話(聞こえている音のままの状態。必要に応じて訳文有り)（美華の発音は日本語訛りがひどいためカタカナ。）
『』・・・意志疎通がとれている会話
（）・・・訳文
【】・・・日本語以外の言語で会話。当人同士は理解している。


夏海の手を離す。
教室に入るまでに身体がボロボロだ。

　教室は通常20人程が収容出来る小さな部屋で、16名分の席が置いてある。そして毎日好きな席に自由につくことが出来る。

　けれど、今日は窓際の一番奥の席を中心に大量の人集りができ教室がギュウギュウだ。

ライブにでも来た気分。

「教室まで来たけど、どうにもできないね」

おしくら饅頭状態で身動がとれずにいたその時だった。

「ジリリリリ」
　授業を知らせるチャイムが鳴り、それと同時に教室の外からネイティブの中国語で大きな声が聞こえる。

『みなさん！早く自分の教室に戻りなさい！授業が始まりますよ！』

　担任のチェン先生の声が大きく廊下に響いた。

『さあ早く教室に戻りなさいっ！！！』

私たちは人波に流されぬように端っこで小さくなっていた。

人が少しづつ減っていき、教室は窓際の一つの席を除いて、いつもの日常の姿と戻っていった。

人が履け切り、一息つくと先生は口を開いた。

『おはようございます。大変な騒ぎになりすみませんでした。皆さんお気づきだと思いますが、今日は、転入生がいますよね。色々それについてルールを決めますが、先ずは。すみませんが、皆のために教壇まで来て、転入生、自己紹介をお願いします。』

「是。（はい）」
　クラスメイト15人分の視線は、一斉に一人の男性へと注がれた。


180㎝以上あるであろう身長、長い手脚・・・。

彼は席から立ち上がり、教壇へと進んでいく。

クラスメイトたちは、その男性が一歩脚を進ませる度に、興奮し騒ぎ立てる。

・・・え！？

私は衝撃で目を見開き、ハッと息を漏らし手を口の前にあてる。

こ、この人は・・・き、昨日の！？

心拍数が上がり、身体が熱くなってくるのがわかる・・・。

アドレナリンが大量に分泌されているのか、手が震え始めた。

昨日看ていたドラマに出演していたアイドル俳優。

それが今、自分のクラスの教壇の前に立っている！！

それだけでも信じられないような事だけど・・・。

マスク越しでも分かるこの顔の小ささ、バランスの良いキレイな二重の眼・・・！間違いない！！

自己紹介するため彼は、変装用のマスクと眼鏡を取る。

高くて筋が通った鼻、アゴがしゅっと細い。

全体のパーツが恐ろしく整っている・・・！！

男性はにこりと笑い転入生として挨拶を始める。

『こんにちは。キム・テグンです。韓国でCOSMOSというグループのアイドルとして活動しています。今日から皆さんのクラスメイトとして中国での留学生活を一年間送ります。宜しくお願いします。』

優しい笑顔に色気が漂う美声。男女問わずクラスメイトたちは彼の虜になっていたと思う。

でも私は違った。

だってこの声！やっぱり昨日この人に会った！

あの・・隣人だ！！！！！