1 / 9
襲撃
しおりを挟む
暴君が、復讐される話です。
※実在の人物・団体等とは一切関係ありません
※流血、殺傷、残酷な表現がございます。
ーーー
皇帝が、刺客に襲われた。
◆
「レクサンド ────お前に息子を殺された私の恨み、…あの子の無念を思い知るがいい」
顔に皺の目立つ女の使用人は、皇帝と同じぐらいの歳に見えた。若くはない。
女が手にした針のような武器は、どうやら髪飾りに隠してあったようだ。
かんざし状の髪飾りを外したため、ざんばらに髪を下ろした状態になった女。
女が、皇帝の首にアイスピックのような太い針状のものをズブリと差し込んだ。
白髪まじりの長い赤毛の中に、幽鬼のような女の眼が怒りでギラギラと光る。
「 ぅァ ───ッ」
皇帝は、自分に何が起こったのか分からなかった。
わずか数秒の出来事だった。
油断していたかもしれない。
簡単な軽食を食べながら報告をきいていたところだった。
腹が少し満たされて、なんとなく安心していたかもしれない。
午後の予定を、頭の隅で考えていたところだった。
いつも傍に仕えている呪術師バサンの姿がさっきから見えないことも、用を足しにでも行っているのだろうと思っていた。
レクサンドとしては不本意だったが、両国のあいだに停戦協定が結ばれ、停戦のうちにひと息ついてまた侵攻を始めるつもりでもあった。皇帝のレクサンドだけは。
帝国上層部の他の者は、そうは思っていなかった。
※実在の人物・団体等とは一切関係ありません
※流血、殺傷、残酷な表現がございます。
ーーー
皇帝が、刺客に襲われた。
◆
「レクサンド ────お前に息子を殺された私の恨み、…あの子の無念を思い知るがいい」
顔に皺の目立つ女の使用人は、皇帝と同じぐらいの歳に見えた。若くはない。
女が手にした針のような武器は、どうやら髪飾りに隠してあったようだ。
かんざし状の髪飾りを外したため、ざんばらに髪を下ろした状態になった女。
女が、皇帝の首にアイスピックのような太い針状のものをズブリと差し込んだ。
白髪まじりの長い赤毛の中に、幽鬼のような女の眼が怒りでギラギラと光る。
「 ぅァ ───ッ」
皇帝は、自分に何が起こったのか分からなかった。
わずか数秒の出来事だった。
油断していたかもしれない。
簡単な軽食を食べながら報告をきいていたところだった。
腹が少し満たされて、なんとなく安心していたかもしれない。
午後の予定を、頭の隅で考えていたところだった。
いつも傍に仕えている呪術師バサンの姿がさっきから見えないことも、用を足しにでも行っているのだろうと思っていた。
レクサンドとしては不本意だったが、両国のあいだに停戦協定が結ばれ、停戦のうちにひと息ついてまた侵攻を始めるつもりでもあった。皇帝のレクサンドだけは。
帝国上層部の他の者は、そうは思っていなかった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
アルゴノートのおんがえし
朝食ダンゴ
ファンタジー
『完結済!』【続編製作中!】
『アルゴノート』
そう呼ばれる者達が台頭し始めたのは、半世紀以上前のことである。
元来アルゴノートとは、自然や古代遺跡、ダンジョンと呼ばれる迷宮で採集や狩猟を行う者達の総称である。
彼らを侵略戦争の尖兵として登用したロードルシアは、その勢力を急速に拡大。
二度に渡る大侵略を経て、ロードルシアは大陸に覇を唱える一大帝国となった。
かつて英雄として名を馳せたアルゴノート。その名が持つ価値は、いつしか劣化の一途辿ることになる。
時は、記念すべき帝国歴五十年の佳節。
アルゴノートは、今や荒くれ者の代名詞と成り下がっていた。
『アルゴノート』の少年セスは、ひょんなことから貴族令嬢シルキィの護衛任務を引き受けることに。
典型的な貴族の例に漏れず大のアルゴノート嫌いであるシルキィはセスを邪険に扱うが、そんな彼女をセスは命懸けで守る決意をする。
シルキィのメイド、ティアを伴い帝都を目指す一行は、その道中で国家を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてしまう。
セスとシルキィに秘められた過去。
歴史の闇に葬られた亡国の怨恨。
容赦なく襲いかかる戦火。
ーー苦難に立ち向かえ。生きることは、戦いだ。
それぞれの運命が絡み合う本格派ファンタジー開幕。
苦難のなかには生きる人にこそ読んで頂きたい一作。
○表紙イラスト:119 様
※本作は他サイトにも投稿しております。
【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?
眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。
これが全ての始まりだった。
声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。
なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。
加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。
平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。
果たして、芳乃の運命は如何に?
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
魔法より呪術のほうが最強のようです。
花野りら
ファンタジー
完結まで毎日更新!
伝説の純白ドラゴンに呪いをかけられた魔法女子大生キララ。彼女の呪いを祓うためには、ベビードラゴンを育てることだった! 大戦乱世は遠い昔のこと、新時代の異世界は、人間も魔族もみんな仲良く暮らしていた。だが、やっかいな問題があった。それは『呪い』である。この物語は、呪われて魔法が使えない女子大生キララが、いろいろなお仕事体験をしながら、呪術師ヌコマールとともに世直しをする──バトルファンタジーである。
登場人物
キララ(20) 魔法学校フロースの女子大生。成績優秀なエリート
ヌコマール(16) 呪術師。風変わりな美少年で、前世の記憶をもつ
ハヤテ(29) 聖騎士の団長。心は優しいが、悪者に対して容赦がない
クラリス(27) 勇者。モテるし実力もあるが、女好きの俺様男
キャンディ(20) キララの同級生。王族の姫、超ポジティブで勇者が好き
バニー(20) キララの同級生。人間と女神のハーフ、驚異的な魔力をもつ
タマ(15) 呪術館のメイド。猫耳族でかわいい。料理が得意。
オノ(18) 呪術館の執事。サキュバスで魔法道具の研究者。
ソイーネ(1) 赤ちゃんドラゴン
マコ(20) 戦士。剣を愛する陽キャ
リク(20) 魔法使い。っすキャラ
ミイヒ(20) 僧侶。影の実力者的な存在
ニナ(20) 村長の娘。絶世の美女
ミネル(27) 教授。キララを高く評価している
ペンライト(52) 王都ペンライトの王様。キャンディの父。
夕闇のネリネ
三条 よもぎ
恋愛
「噂の赤い目の女を捕縛しました」
その知らせを受け、元宰相のルイスは王都へ向かう。
「顔を上げろ」
しかし、椅子に縛り付けられたネリネは憔悴して動かない。
兵士がネリネの髪を引っ張り、痛みに歪んだ顔が見える。
「あなたはネリネ・エイジャー嬢ですね?」
探し求めていた彼女を見つけたルイスは領地へ連れて帰る。
状況を理解出来ないネリネはルイスに従った振りをする。
そもそも心が壊れているネリネには活力が無い。
実は伯爵令嬢だったネリネが暗殺集団に入れられ、心が壊れることになった原因にルイスが関係していた。
やがて、共に生活しながらその事実を知ることとなり……。
残酷な運命に翻弄される元貴族令嬢と彼女を探し求める宰相の物語です。
第1章はネリネの人生が壊れていき、捕縛されるまで、第2章はネリネがルイスに引き取られてからのお話です。
本編全33話、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる