【完結】妻は知っていた

スコブル

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親御さんに来ていただきました

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◆~浮気相手視点~

 両親から往復ビンタ。父親、母親から何度もそんなふうに頬を張られたものだから、痛くて痛くてほっぺたがものすごく腫れた。

 そしてギルマスの奥さんの所に私を引きずるように連れていき、三人で平謝りした。
 私はその時、初めてギルド長の奥さんの顔を間近に見た。

 美しい人だった。どこか冷たい感じの。私はこの人の夫と…。ギルド長と関係を持ってから、関係に溺れていて夢中で気付かなくて ──、いいや、考えないようにしていたのだ。

「申し訳ございませんでした…」
「うちの娘が、本当に申し訳ありません…なんと言っていいか……」

 奥さんは冷気のような殺気を静かに放っていた。
 私が謝罪した後の目付きが特に怖かった……。

「バカなうちの夫との恋愛ごっこは楽しかったかしら?お嬢さん」

 ぐっと言葉に詰まった。まさか「私たちは純愛のつもりでした」などと返せるはずもなく深々と頭を下げるしかなかった。

 両親から慰謝料支払いの話が出て、なんとか裁判に発展することは避けられた。

 最後にギルド長の奥さんは「夫に、置き手紙でも書いてやって」というようなことを言っていたが

 両親と共に部屋の外に出てきてから両親が怖い形相で
「その男宛ての手紙は書かんでいい お前はこのまま黙って消えるんだ」と言ったのでそれに従った。



 そうして私は親に引きずられるようにして実家に帰った。ひと言の別れも言わずに。言えずに。
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