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1章ラギルダンジョン編

プロローグ

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真っ暗闇の中火の灯火がどんどん小さくなり見えなくなってくる。現在進行形落下中の司馬太一は何も抵抗する気が起きず、ただ途轍もない落下感に身を委ねていた。                   
                                                     ダンジョンでの訓練の中暗闇に嵌り、何も見えない中目をつぶり今までの事を思い返した。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

学生にとって1週間の中で最も期待を抱く金曜日。大多数の人間が明日への休みの希望を抱き、天国を夢見るだろう。

そしてそれは私立三界高校に通う司馬太一も例外ではない。ただし太一は学校に通うことを憂鬱に思っていた。

2年3組のドアを開け、自分の席に座る。クラス全員から舌打ちや侮辱の視線が送られる。それを不快に感じながらも席に座る。あとは時間が来るまで本を読むだけ。そう、司馬はクラスにおいて孤立していた。理由は2つある。

「よぉ、司馬、毎日金稼いで大変だなw。天涯孤独の身で周りみんなが助けてくれなくて。お前みたいなやつがどうしてこのかなりの進学校である三界高校にいられるのか不思議だぜ。教えてくれよォ?」

そう1つ目の理由はこれだ。太一はこの時代には珍しい孤児であった。そんな司馬を拾ってくれたおじいさんが去年なくなってしまったのだ。おじいさんからは司馬の両親は亡くなった、と聞いている。

学校に通い続けることが出来ているのはおじいさんが理事長の知り合いで事情を知り、お金を肩代わりしてくれているのだ。ただし、成績が下位のグループになると解除するという条件付きで。
そのおかげで成績は上位グループにいる。

2つ目の理由が
「おはよう、司馬くん!今日もいい天気だね~!」

「お、おはよう…」

「司馬くん!もっと元気出してよ!」
ニコニコしながら司馬に挨拶する少女。この少女ー住野 桜ーが原因である。

突然だがこのクラスの簡単な紹介をしよう。このクラスにはこの学校で一番のイケメンとも言われ、リーダーシップのある王角龍騎と学園の2大美女と言われる黒髪長髪で顔が整い神々しいとまで言われる住野桜と茶髪で短めに切りそろえて愛想のいい笑顔を振りまくアイドル的存在の清水桃花を筆頭にいわゆる陽キャがかなりいる。 

周りは羨ましいとよく言っているが司馬からしたら地獄である。居心地がとても悪く、小言を言ってくるクラスメイトが多く、極め付きには2大美女の住野がよく話しかけてくる。それをクラスが舌打ちしてすごい形相で睨んでくる。クラス全員にいじめられているのだろうか?

「おい、桜、そんな根暗で貧乏なやつに話しかけるなよ。そいつに話しかけるなら日曜どこに行くか決めようぜ。」

王角が笑顔で住野に話しかける。司馬は怒りを感じたがイケメンスマイルの前では何も言おうとは思わない。

「確かに司馬くんは根暗っぽく見えるし、貧しいって言われているけれど悪い人じゃないよ? それに私日曜日は用事があるの。だから行けない。ごめんね、王角くん。」

住野がそういったすぐあとにドアが開き、担任の先生が入ってきた。先生の中では小柄で可愛いと評判のでみんなからはリサちゃん先生と呼ばれている。

「はい、席に着いて~、ホームルームを始めます。」  

「またね~」と言いながら住野は自分の席に戻り、王角は住野に聞こえないように舌打ちして自分の席に戻った。

「今日も全員出席ですね。では今日も一日がんばりましょう!

先生がそういった瞬間だった。クラスの床に魔法陣のようなものが描かれ、クラスが光に包まれた。

その瞬間にクラスの中で困惑のような声が上がる中、太一は思った。

あ…コレ異世界転移する系のやつだ。
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