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第24話 猿と熊とゴリラと猿
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翌日。俺は傷心のまま登校した。本当は部屋に閉じこもっていたいが、皆に余計な心配はかけたくない。
今朝鏡を見た時は、幸いにも顔つきだけはいつも通りの顔に回復していた。昨夜見た時には、晴香の言うように本当に死人みたいだったからだ。親からも何事だと言われた。当然、女の子にフラれたなどと余計な事は、俺も晴香も言わなかったが。
「うーっす、猿山ァ」
「おう」
乾もいつもと変わらぬノリで挨拶してきた。俺もそれにいつも通り返す。下手に昨日の事を蒸し返されるより、この方がよっぽど助かる。乾なりに俺に気を遣ってくれているのだろう。
この時期になると、高3はもう暇なものだ。今日は卒業式の予行練習だが、明日からは卒業式当日まで、僅かな登校日がある程度でほとんど休みになる。
3年生全員が体育館に集まり、予行練習が始まった。当然12組も来ているが、そっちに目を向ける気にはならなかった。
俺のテンションは全くもって上がらない。かといって下がりもしない。せき止められて流れが止まってしまった小川のように、俺の心は僅かにも揺らがなくなってしまった。
後藤さんの事は今でも好きだ。昨日の事は夢であって欲しかったと思う。付き合いたいという欲は変わらない。しかしその欲を満たそうという情熱が、すっかり空っぽになってしまったのだ。
無気力、無感情、無関心。今までは確かにあったものが、今の俺からは抜けてしまっていた。
いつの間にか予行練習が終わっていた。誰が何を喋っていたのかが全く思い出せない。まあ、別にどうでもいいか。本番で俺がやる事なんて決まっているんだ。名前を呼ばれたら舞台に上がって卒業証書を受け取る。その後は校歌斉唱。それで終わりだ。
そして家に帰って、卒業祝いに家族とちょっとお高いレストランで食事して、夜になったら寝て、束の間の春休みを楽しんで、4月からは大学生活が始まる。ただそれだけの事。失恋の痛みは、時間や新生活が少しずつ癒してくれる事を願う。
予行練習が終わった後の休み時間。俺は何となく屋上へ来ていた。特に用事があるわけではない。2年半、汗水を流して野球の練習に勤しんだグラウンドを見下ろすと、様々な思い出が蘇る。
そう……大学生になれば、また大好きな野球が出来るんだ。どうせ春休みなんて暇なだけでやる事がないんだから、早く4月になってほしいものだ。
「……あんた、そんな所で何してんの?」
慣れ親しんだ声に振り返ると、そこにいたのは熊井だった。後藤さんと一緒じゃないとは珍しいな。
「別に、何も。黄昏れてただけだ」
「あっそう。何かテンション低いね」
「まあな。実は門木大落ちたんだわ」
「……! へえ、そうなんだ」
「お前にとってはいい知らせだろ。もっと喜べよ」
俺のその言葉に、熊井は怒ったようにキッと睨みつけてきた。
「何それ。あたしを人の不幸を指差して笑うような人間だと思ってたの? 馬鹿にすんなよ」
「……そりゃ失礼。取り消すよ」
俺は再びグラウンドに視線を戻した。こいつ、何しに来たんだ。たまたま屋上に来たら俺が先に来てたって言うなら、わざわざ話し掛けずに引き返せばいいのに。
「あっ、そういえば言うの忘れてた。お前、江手保育専門受かったんだって?」
「ん……まあ、ね」
「おめでとう。お前ならいい保育士になれるよ」
ずっと言いそびれていた。後藤さんから、今度熊井に会った時に、おめでとうって言ってあげるように言われていたのだ。
「……どうも」
仮面を被っているかのように無表情で返された。ほらな、予想通りだ。俺がそんな事を言ったところで、喜びやしないんだ。
まあでも、後藤さんとの約束はこれで果たした。熊井とも今後会う事はないだろうし、最後ぐらい祝いの言葉の1つぐらいくれてやっても構わないだろう。
いや、伝える事はもう1つあったな。これで本当に最後だ。
「……それともう1つ、お前に知らせておく。今度こそ本当にいい知らせだ」
「なに?」
「後藤さんに告白したよ。でもフラれた」
「!!」
「もう後藤さんに絡むのはやめるよ。お前の邪魔ももうしない。むしろ応援するよ。女同士だからさ、どうやっても結婚とかは無理だろうけど、それでも末永く仲良くやっていけるといいな」
俺は熊井の横をすり抜け、屋上扉に向かって歩き出した。その俺の肩を、熊井が掴んで止めた。
「梨央は、なんて?」
「お友達でいて下さいってさ。でも、無理だよ。大学は違うし、家だってご近所ってわけじゃない。お互い新生活が始まれば、どうしたって新しい人間関係が作られて疎遠になっていくんだ。ましてや、1度は1人の女の子として見てしまった後藤さんと、今更友達関係を続けていけるとは思えない。後藤さんからしても、俺なんかといても気まずいだけだろう」
「あんたは、本当にそれでいいの?」
「俺は乾みたいにポジティブにはなれない。同じ女の子に何度もアタック出来るような積極性もない。だから、もういいんだ。もう気持ちを切り替えたんだよ。いつまでもウジウジしてたってしょうがないしな」
「……じゃあ、何で泣いてんの?」
「……」
やはり駄目だった。後藤さんの事を口に出したり、誰かに蒸し返されたりしたら、絶対に感情が涙に変わって溢れ出てくるのは分かりきっていたのだ。
泣き叫びたい。今すぐここから飛び降りたい。そんな馬鹿な衝動を抑えるため、ロボットのように感情を抑えていたのに。熊井……お前は、最後の最後まで俺の邪魔をしてくれるんだな。
「乾達にも言った事だけどよ。頼む。もう俺の事は放っておいてくれ」
「猿山……」
「頼むから。それが俺へのせめてもの情けになるんだ」
熊井が俺の肩から手を離し俯いた。何でお前がへこむ必要があるんだよ。こっちまで気が滅入ってくるじゃないか。いっその事、高笑いしながら勝ち誇ってくれた方がまだ気が楽になれたのに。俺は熊井を残し、屋上を後にした。
下校の時刻となり、俺はいつも通り乾と雉田と一緒に校舎を出た。その後の雑談もいつも通り。こうして毎日のように顔を合わせる事も無くなるというのに、しんみりとした空気は一切無い。最近出た人気ゲームについて熱く語ったり、しょうもない下ネタトークで馬鹿笑いしている。俺達らしいと言えば俺達らしい。
「あれ? あそこにいるのって、晴香ちゃんじゃない?」
雉田が指差した方向に、俺と乾が顔を向ける。
「本当だ、晴香ちゃんじゃねえか。あんな所で何してんだ?」
校門から道路を挟んで、向こう側の電柱に晴香が寄りかかって立っている。何であいつが江手高に……? 晴香も俺達に気付いたようだ。
「兄貴……」
「晴香、何やってんだ?」
「いや、別に何も」
「何もって事はないだろ。俺に用があって待ってたんじゃないのか?」
「だったら家で待ってるよ。とにかく、兄貴には関係ないから先帰ってて」
晴香はそう言って、視線を校門に戻してしまった。
「……そうか。じゃあな」
俺は晴香を置いて、駅の方へ足を向けた。歩いている最中、乾も雉田もチラチラと後ろを振り返り、晴香の事を気にしていた。
「おい、猿山。いいのか? あれは恐らく……」
「ああ、分かってる。悪いが、先に帰っててくれ」
「おう」
俺は乾と雉田を残し、来た道を引き返した。そして、晴香の近くまで来たところで塀に隠れて、その姿を窺う。
俺達に用がない……そうなると、晴香が用がある人物など1人しか考えられない。俺の中で、嫌な予感が膨れあがっていく。あいつ、一体どういうつもりなんだ?
その時、校舎からその人物が姿を現した。後藤さん……そして熊井も一緒だ。後藤さんを見た途端、俺の胸がチクリと痛んだ。くそ……以前は心が安らいだのに、どうして痛むんだよ。
後藤さんに気付いた晴香が、電柱から背を離した。やはり、後藤さん待ちだったか。
「あら、晴香ちゃん?」
「どうもこんにちは。後藤先輩、熊井さん」
晴香が礼儀正しく挨拶した。
「どうしたの? お兄さん待ってるの?」
「いえ、後藤先輩を待ってました。ちょっとお話したい事があって。それで、出来れば2人きりで……」
晴香が申し訳なさそうに熊井に目を向ける。
「……いいよ。じゃあ、あたし先にいつもの喫茶店で待ってるね」
「あ、うん。分かった」
「すみません、熊井さん」
熊井は軽く手を上げてそれに応え、行ってしまった。後藤さんと2人きりで話だと……。多分、俺の話だよな。
まさかとは思うが……俺をフッた事を責め立てる気じゃないだろうな? だとしたら、マジで勘弁してくれ。気持ちは嬉しいが、そんな事をしても何も変わらない。ただ後藤さんを困らせるだけだ。
「じゃあ立ち話もなんだし、あそこのお店で話さない?」
「はい。ありがとうございます」
後藤さんが指差したのは、門木大入試の後に後藤さんと2人で入ったファーストフード店の系列店だった。再び俺の胸が痛む。いい思い出も、今となっては辛く切ない思い出に変わってしまった。
俺の足は自然と2人の後を追っていた。これ以上、盗み聞きなんて趣味の悪い事はしたくない。でも、どうしても聞かずにはいられない。晴香が、後藤さんに何を言うつもりなのか。場合によっては、無理矢理にでも止めに入るつもりだ。
今朝鏡を見た時は、幸いにも顔つきだけはいつも通りの顔に回復していた。昨夜見た時には、晴香の言うように本当に死人みたいだったからだ。親からも何事だと言われた。当然、女の子にフラれたなどと余計な事は、俺も晴香も言わなかったが。
「うーっす、猿山ァ」
「おう」
乾もいつもと変わらぬノリで挨拶してきた。俺もそれにいつも通り返す。下手に昨日の事を蒸し返されるより、この方がよっぽど助かる。乾なりに俺に気を遣ってくれているのだろう。
この時期になると、高3はもう暇なものだ。今日は卒業式の予行練習だが、明日からは卒業式当日まで、僅かな登校日がある程度でほとんど休みになる。
3年生全員が体育館に集まり、予行練習が始まった。当然12組も来ているが、そっちに目を向ける気にはならなかった。
俺のテンションは全くもって上がらない。かといって下がりもしない。せき止められて流れが止まってしまった小川のように、俺の心は僅かにも揺らがなくなってしまった。
後藤さんの事は今でも好きだ。昨日の事は夢であって欲しかったと思う。付き合いたいという欲は変わらない。しかしその欲を満たそうという情熱が、すっかり空っぽになってしまったのだ。
無気力、無感情、無関心。今までは確かにあったものが、今の俺からは抜けてしまっていた。
いつの間にか予行練習が終わっていた。誰が何を喋っていたのかが全く思い出せない。まあ、別にどうでもいいか。本番で俺がやる事なんて決まっているんだ。名前を呼ばれたら舞台に上がって卒業証書を受け取る。その後は校歌斉唱。それで終わりだ。
そして家に帰って、卒業祝いに家族とちょっとお高いレストランで食事して、夜になったら寝て、束の間の春休みを楽しんで、4月からは大学生活が始まる。ただそれだけの事。失恋の痛みは、時間や新生活が少しずつ癒してくれる事を願う。
予行練習が終わった後の休み時間。俺は何となく屋上へ来ていた。特に用事があるわけではない。2年半、汗水を流して野球の練習に勤しんだグラウンドを見下ろすと、様々な思い出が蘇る。
そう……大学生になれば、また大好きな野球が出来るんだ。どうせ春休みなんて暇なだけでやる事がないんだから、早く4月になってほしいものだ。
「……あんた、そんな所で何してんの?」
慣れ親しんだ声に振り返ると、そこにいたのは熊井だった。後藤さんと一緒じゃないとは珍しいな。
「別に、何も。黄昏れてただけだ」
「あっそう。何かテンション低いね」
「まあな。実は門木大落ちたんだわ」
「……! へえ、そうなんだ」
「お前にとってはいい知らせだろ。もっと喜べよ」
俺のその言葉に、熊井は怒ったようにキッと睨みつけてきた。
「何それ。あたしを人の不幸を指差して笑うような人間だと思ってたの? 馬鹿にすんなよ」
「……そりゃ失礼。取り消すよ」
俺は再びグラウンドに視線を戻した。こいつ、何しに来たんだ。たまたま屋上に来たら俺が先に来てたって言うなら、わざわざ話し掛けずに引き返せばいいのに。
「あっ、そういえば言うの忘れてた。お前、江手保育専門受かったんだって?」
「ん……まあ、ね」
「おめでとう。お前ならいい保育士になれるよ」
ずっと言いそびれていた。後藤さんから、今度熊井に会った時に、おめでとうって言ってあげるように言われていたのだ。
「……どうも」
仮面を被っているかのように無表情で返された。ほらな、予想通りだ。俺がそんな事を言ったところで、喜びやしないんだ。
まあでも、後藤さんとの約束はこれで果たした。熊井とも今後会う事はないだろうし、最後ぐらい祝いの言葉の1つぐらいくれてやっても構わないだろう。
いや、伝える事はもう1つあったな。これで本当に最後だ。
「……それともう1つ、お前に知らせておく。今度こそ本当にいい知らせだ」
「なに?」
「後藤さんに告白したよ。でもフラれた」
「!!」
「もう後藤さんに絡むのはやめるよ。お前の邪魔ももうしない。むしろ応援するよ。女同士だからさ、どうやっても結婚とかは無理だろうけど、それでも末永く仲良くやっていけるといいな」
俺は熊井の横をすり抜け、屋上扉に向かって歩き出した。その俺の肩を、熊井が掴んで止めた。
「梨央は、なんて?」
「お友達でいて下さいってさ。でも、無理だよ。大学は違うし、家だってご近所ってわけじゃない。お互い新生活が始まれば、どうしたって新しい人間関係が作られて疎遠になっていくんだ。ましてや、1度は1人の女の子として見てしまった後藤さんと、今更友達関係を続けていけるとは思えない。後藤さんからしても、俺なんかといても気まずいだけだろう」
「あんたは、本当にそれでいいの?」
「俺は乾みたいにポジティブにはなれない。同じ女の子に何度もアタック出来るような積極性もない。だから、もういいんだ。もう気持ちを切り替えたんだよ。いつまでもウジウジしてたってしょうがないしな」
「……じゃあ、何で泣いてんの?」
「……」
やはり駄目だった。後藤さんの事を口に出したり、誰かに蒸し返されたりしたら、絶対に感情が涙に変わって溢れ出てくるのは分かりきっていたのだ。
泣き叫びたい。今すぐここから飛び降りたい。そんな馬鹿な衝動を抑えるため、ロボットのように感情を抑えていたのに。熊井……お前は、最後の最後まで俺の邪魔をしてくれるんだな。
「乾達にも言った事だけどよ。頼む。もう俺の事は放っておいてくれ」
「猿山……」
「頼むから。それが俺へのせめてもの情けになるんだ」
熊井が俺の肩から手を離し俯いた。何でお前がへこむ必要があるんだよ。こっちまで気が滅入ってくるじゃないか。いっその事、高笑いしながら勝ち誇ってくれた方がまだ気が楽になれたのに。俺は熊井を残し、屋上を後にした。
下校の時刻となり、俺はいつも通り乾と雉田と一緒に校舎を出た。その後の雑談もいつも通り。こうして毎日のように顔を合わせる事も無くなるというのに、しんみりとした空気は一切無い。最近出た人気ゲームについて熱く語ったり、しょうもない下ネタトークで馬鹿笑いしている。俺達らしいと言えば俺達らしい。
「あれ? あそこにいるのって、晴香ちゃんじゃない?」
雉田が指差した方向に、俺と乾が顔を向ける。
「本当だ、晴香ちゃんじゃねえか。あんな所で何してんだ?」
校門から道路を挟んで、向こう側の電柱に晴香が寄りかかって立っている。何であいつが江手高に……? 晴香も俺達に気付いたようだ。
「兄貴……」
「晴香、何やってんだ?」
「いや、別に何も」
「何もって事はないだろ。俺に用があって待ってたんじゃないのか?」
「だったら家で待ってるよ。とにかく、兄貴には関係ないから先帰ってて」
晴香はそう言って、視線を校門に戻してしまった。
「……そうか。じゃあな」
俺は晴香を置いて、駅の方へ足を向けた。歩いている最中、乾も雉田もチラチラと後ろを振り返り、晴香の事を気にしていた。
「おい、猿山。いいのか? あれは恐らく……」
「ああ、分かってる。悪いが、先に帰っててくれ」
「おう」
俺は乾と雉田を残し、来た道を引き返した。そして、晴香の近くまで来たところで塀に隠れて、その姿を窺う。
俺達に用がない……そうなると、晴香が用がある人物など1人しか考えられない。俺の中で、嫌な予感が膨れあがっていく。あいつ、一体どういうつもりなんだ?
その時、校舎からその人物が姿を現した。後藤さん……そして熊井も一緒だ。後藤さんを見た途端、俺の胸がチクリと痛んだ。くそ……以前は心が安らいだのに、どうして痛むんだよ。
後藤さんに気付いた晴香が、電柱から背を離した。やはり、後藤さん待ちだったか。
「あら、晴香ちゃん?」
「どうもこんにちは。後藤先輩、熊井さん」
晴香が礼儀正しく挨拶した。
「どうしたの? お兄さん待ってるの?」
「いえ、後藤先輩を待ってました。ちょっとお話したい事があって。それで、出来れば2人きりで……」
晴香が申し訳なさそうに熊井に目を向ける。
「……いいよ。じゃあ、あたし先にいつもの喫茶店で待ってるね」
「あ、うん。分かった」
「すみません、熊井さん」
熊井は軽く手を上げてそれに応え、行ってしまった。後藤さんと2人きりで話だと……。多分、俺の話だよな。
まさかとは思うが……俺をフッた事を責め立てる気じゃないだろうな? だとしたら、マジで勘弁してくれ。気持ちは嬉しいが、そんな事をしても何も変わらない。ただ後藤さんを困らせるだけだ。
「じゃあ立ち話もなんだし、あそこのお店で話さない?」
「はい。ありがとうございます」
後藤さんが指差したのは、門木大入試の後に後藤さんと2人で入ったファーストフード店の系列店だった。再び俺の胸が痛む。いい思い出も、今となっては辛く切ない思い出に変わってしまった。
俺の足は自然と2人の後を追っていた。これ以上、盗み聞きなんて趣味の悪い事はしたくない。でも、どうしても聞かずにはいられない。晴香が、後藤さんに何を言うつもりなのか。場合によっては、無理矢理にでも止めに入るつもりだ。
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