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:目標を探してみましょう
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「いや~、あの時は死ぬかと思ったけど、その時に俺の一閃でだな~…」
「すごいです! ラルクさん! 」
今朝、湖の近くでこの男の戦闘を見て、ライが弟子にして欲しいと言い出し、それに対してラルクは即答で了承していた。
とりあえず食事をしながらとギルド酒場まで一緒に戻ってきたがさっきからこの調子だ。
ライは何を考えているんだ?
まあ、諦めてくれて他のやつに習いにいくならそれはそれでいいんだけど。
ただ、なんとなくモヤモヤする。
それにさっきからこの男、気になる事ばかり言ってるな。
STR極振り、モントレ、イベント、PvP
他にも私にとっては全部聞き慣れた単語ばかりだけど、ライは意味が分からないらしくさっきから首を傾げている。
そんなことは気にせずラルクは自慢気に話をしているけど。
「それより、すっげーリアルな世界になったよな。あんたもNPCなんだろ? 」
「……NPCってなんのことですか?」
「だよなー! 」
わざと知らないって顔をして聞き返すと何が面白いのかケラケラ笑い出す。
今のも含めて確信に近づいてきた。
この男も元々はゲームプレイヤーじゃないのか?
そんな疑問が沸いたから気になって仕方なくここまで付いてきたけど、どうやら当たりのようだ。
自分以外のゲームプレイヤーなんて初めて見た。
だからあんなに剣の扱いに慣れていなかったのか?
ゲーム内のキャラなら私が弓を使い始めた時みたいにある程度補正がかかってると思うけど。
あの戦闘技術にしてはモンスターとの戦闘に迷いがなかった気がする。
STR極振りって言ってたから防御は装備と基礎だけだと思うし、この人もカンストしてるのかな?
防具自体のレベルからしても、下手すると後衛に回る私よりも総合的に防御力が低いことになると思うけど。
あの戦闘技術でモンスターに突っ込んでいけるのは、この辺のモンスターじゃ攻撃されても問題ないって自信があるからなのか?
「ちなみにラルクさんはレベルどれくらいあるんですか? 」
ライが木の実のジュースを飲みながら私も気になっていた事をラルクに聞くと、待ってましたとばかりのニヤッとした表情を浮かべる。
チラリと辺りを見て周囲に聞かせるような大きめの声で自慢気に答えた。
「俺かぁ~!? 今Lv.53だよ! ほれ、ギルドカード! 」
なんだ大したことないじゃん、って私が思った瞬間にそれを聞いた周りからはざわめきが起こった。
「Lv.53だって!? あいつ何者だ!? 」
「お、おい、うちのパーティーにスカウトしようぜ! 」
「無理だろ…。レベル差がありすぎて俺たちが死ぬ」
え?Lv.53ってそんなに驚く程のレベルなの?
酒場内にいた他の冒険者の反応の方に驚いた。
私Lv.90なんですけどとか言ったら絶対これ以上の混乱が起こるよね。
ギルドカードには名前の他に年齢や性別、レベル、職業、所持金、クエスト遂行回数なんかが記載される。
もし落としても他人が使えないにせよ、個人情報ダダ漏れが怖くて名前以外は非表示にしていた。
心の底から思う。非表示にしててよかった。
じゃなきゃ今頃はクエスト終わる度に大騒ぎだったな。
「ま、俺は選ばれし勇者だからなー! 魔王なんて俺が簡単に倒してやるよ! 」
「ラルクさん、かっこいいです! 」
ライ、猫かぶり過ぎだろ。
私の時とキャラが全然違うし。
ラルクはラルクでいろんな意味で痛すぎる。
まだざわめきが残るギルド酒場で、これ以上は見ていられないと思いこっそり抜け出した。
「あんなのと同じゲームプレイヤーと思われたら……。はぁぁぁ、やだわー」
同じゲームプレイヤーとして色々聞き出したいと思っていたが、あんな奴と話すのは疲れる。
あのタイプは人の話を全く聞かないし、無駄に自分に自信があって話が通じないから苦手な部類だ。
他にもゲームプレイヤーだった人がいるかもしれないし、気になる話はその時でいいや。
さっきまでの事は見なかったことにして私はまた森での採取に勤しんだ。
「ただいま」
「おかえりなさい、メグル君。今日はライ君は一緒じゃないのね? 」
夜遅くに宿屋に戻ったらいつものようにメアリーさんが出迎えてくれてライのことを聞かれる。
今日は2人で出て行ったのを見られていたし、あんなに毎日詰めかけてきていたのに姿を見せないから気になったんだろう。
「なんか師匠を見つけたみたいです」
「あらあら、メグル君が相手にしてくれないから拗ねちゃったのかしらね」
くすくすと笑いながら夕飯はいるかしら?と聞いてきたメアリーさんに大丈夫です。と声をかけて部屋に戻った。
ライは周りの大人から結構可愛がられている様だった。
市場まで付いて来られた時はおまけなんかも貰えたし。
素直でいい子なのよーってメアリーさんは言うけど、私にはどうにも生意気な子供にしか見えない。
「さて、久しぶりに調理しますか」
今日取れたばかりのマムイの実をアイテムポーチから取り出す。
携帯用調理鍋を取り出してマムイの実と小麦粉や砂糖なんかと一緒に鍋に入れる。
あとはお馴染みの魔力を注ぎながら鍋をかき混ぜるだけ。
「マムイパイ完成ー! 」
うまっ!!
この味は一度食べたらクセになるよね。
切り分けていま食べる分以外はアイテムポーチにしまっとこう。
そしたら焼きたてでいつでも食べれるし。
他にも森で採取した素材を使って、久しぶりに調理をしていく。
久しぶりに行った生産は思ったよりも楽しくて、ついつい夢中で作り過ぎてしまった。
時間を見たら始めてから結構な時間が経っていたみたいだ。
マムイパイは明日メアリーさん達にもおすそ分けして、甘い物好きみたいだしライにも会ったらあげよう。
「すごいです! ラルクさん! 」
今朝、湖の近くでこの男の戦闘を見て、ライが弟子にして欲しいと言い出し、それに対してラルクは即答で了承していた。
とりあえず食事をしながらとギルド酒場まで一緒に戻ってきたがさっきからこの調子だ。
ライは何を考えているんだ?
まあ、諦めてくれて他のやつに習いにいくならそれはそれでいいんだけど。
ただ、なんとなくモヤモヤする。
それにさっきからこの男、気になる事ばかり言ってるな。
STR極振り、モントレ、イベント、PvP
他にも私にとっては全部聞き慣れた単語ばかりだけど、ライは意味が分からないらしくさっきから首を傾げている。
そんなことは気にせずラルクは自慢気に話をしているけど。
「それより、すっげーリアルな世界になったよな。あんたもNPCなんだろ? 」
「……NPCってなんのことですか?」
「だよなー! 」
わざと知らないって顔をして聞き返すと何が面白いのかケラケラ笑い出す。
今のも含めて確信に近づいてきた。
この男も元々はゲームプレイヤーじゃないのか?
そんな疑問が沸いたから気になって仕方なくここまで付いてきたけど、どうやら当たりのようだ。
自分以外のゲームプレイヤーなんて初めて見た。
だからあんなに剣の扱いに慣れていなかったのか?
ゲーム内のキャラなら私が弓を使い始めた時みたいにある程度補正がかかってると思うけど。
あの戦闘技術にしてはモンスターとの戦闘に迷いがなかった気がする。
STR極振りって言ってたから防御は装備と基礎だけだと思うし、この人もカンストしてるのかな?
防具自体のレベルからしても、下手すると後衛に回る私よりも総合的に防御力が低いことになると思うけど。
あの戦闘技術でモンスターに突っ込んでいけるのは、この辺のモンスターじゃ攻撃されても問題ないって自信があるからなのか?
「ちなみにラルクさんはレベルどれくらいあるんですか? 」
ライが木の実のジュースを飲みながら私も気になっていた事をラルクに聞くと、待ってましたとばかりのニヤッとした表情を浮かべる。
チラリと辺りを見て周囲に聞かせるような大きめの声で自慢気に答えた。
「俺かぁ~!? 今Lv.53だよ! ほれ、ギルドカード! 」
なんだ大したことないじゃん、って私が思った瞬間にそれを聞いた周りからはざわめきが起こった。
「Lv.53だって!? あいつ何者だ!? 」
「お、おい、うちのパーティーにスカウトしようぜ! 」
「無理だろ…。レベル差がありすぎて俺たちが死ぬ」
え?Lv.53ってそんなに驚く程のレベルなの?
酒場内にいた他の冒険者の反応の方に驚いた。
私Lv.90なんですけどとか言ったら絶対これ以上の混乱が起こるよね。
ギルドカードには名前の他に年齢や性別、レベル、職業、所持金、クエスト遂行回数なんかが記載される。
もし落としても他人が使えないにせよ、個人情報ダダ漏れが怖くて名前以外は非表示にしていた。
心の底から思う。非表示にしててよかった。
じゃなきゃ今頃はクエスト終わる度に大騒ぎだったな。
「ま、俺は選ばれし勇者だからなー! 魔王なんて俺が簡単に倒してやるよ! 」
「ラルクさん、かっこいいです! 」
ライ、猫かぶり過ぎだろ。
私の時とキャラが全然違うし。
ラルクはラルクでいろんな意味で痛すぎる。
まだざわめきが残るギルド酒場で、これ以上は見ていられないと思いこっそり抜け出した。
「あんなのと同じゲームプレイヤーと思われたら……。はぁぁぁ、やだわー」
同じゲームプレイヤーとして色々聞き出したいと思っていたが、あんな奴と話すのは疲れる。
あのタイプは人の話を全く聞かないし、無駄に自分に自信があって話が通じないから苦手な部類だ。
他にもゲームプレイヤーだった人がいるかもしれないし、気になる話はその時でいいや。
さっきまでの事は見なかったことにして私はまた森での採取に勤しんだ。
「ただいま」
「おかえりなさい、メグル君。今日はライ君は一緒じゃないのね? 」
夜遅くに宿屋に戻ったらいつものようにメアリーさんが出迎えてくれてライのことを聞かれる。
今日は2人で出て行ったのを見られていたし、あんなに毎日詰めかけてきていたのに姿を見せないから気になったんだろう。
「なんか師匠を見つけたみたいです」
「あらあら、メグル君が相手にしてくれないから拗ねちゃったのかしらね」
くすくすと笑いながら夕飯はいるかしら?と聞いてきたメアリーさんに大丈夫です。と声をかけて部屋に戻った。
ライは周りの大人から結構可愛がられている様だった。
市場まで付いて来られた時はおまけなんかも貰えたし。
素直でいい子なのよーってメアリーさんは言うけど、私にはどうにも生意気な子供にしか見えない。
「さて、久しぶりに調理しますか」
今日取れたばかりのマムイの実をアイテムポーチから取り出す。
携帯用調理鍋を取り出してマムイの実と小麦粉や砂糖なんかと一緒に鍋に入れる。
あとはお馴染みの魔力を注ぎながら鍋をかき混ぜるだけ。
「マムイパイ完成ー! 」
うまっ!!
この味は一度食べたらクセになるよね。
切り分けていま食べる分以外はアイテムポーチにしまっとこう。
そしたら焼きたてでいつでも食べれるし。
他にも森で採取した素材を使って、久しぶりに調理をしていく。
久しぶりに行った生産は思ったよりも楽しくて、ついつい夢中で作り過ぎてしまった。
時間を見たら始めてから結構な時間が経っていたみたいだ。
マムイパイは明日メアリーさん達にもおすそ分けして、甘い物好きみたいだしライにも会ったらあげよう。
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