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好きな人
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湊人は、蓮を追いかけた。
「蓮!」
「湊人? どうした?」
「オレ、中田の事別に好きなわけじゃないんだ」
息を切らせて話す湊人に、蓮は怪訝な表情を浮かべた。
「じゃあ、なんで付き合う事にしたんだ?」
「…それは…」
本当の事を言ったらきっと嫌われる。
「…かわいいから、付き合ってみてもいいかなって思ったんだ」
「ふーん」
「…オレ、やっぱり、中田に付き合えないって断るよ」
「そっか…。その方がいいよ」
蓮は安心したように微笑んだ。
「俺、湊人のこと好きだから。ずっと、一緒にいたい…」
「…え?」
湊人は耳を疑った。蓮が自分を好きだと言った。
いや、もしかしたら、友達としてという意味なのかもしれない。
「オレも蓮のこと好きだよ。大事な友達…」
「湊人…友達としてじゃなくて、その…恋愛の意味で…好きってことなんだけど…」
「え?」
「ごめん。急にこんなこと言われても、困るよな? 湊人は俺の事友達としか思ってないみたいだし…」
「違うよ。オレも蓮が好きだ。恋愛の意味で好きだよ」
湊人は焦ったように言った。
「ホントに? 俺、お前が中田と付き合うって聞いて、本当は悲しかったんだ。告白くらいしておけば良かったって思った」
「蓮。オレは、幼稚園の時から蓮が好きだよ」
本当は、前世からだけど。
「中田に告白されて、付き合うって言ったのは、本当は、ちょっと、からかってやろうと思ったから…。オレ、アイツの事嫌いで、ちょっといじめてやろうと思ってて…」
まさか、前世でいじめられたから仕返ししたくて…なんて言っても、信じてくれないよね。
湊人は、蓮をチラ見した。
(こんな最低な自分を好きでいてくれるかな?)
「そっか。いじめはよくないと思うけど、もう中田に断るって決めたんだろう? だったら問題ないんじゃないか?」
「そうだよな? オレ明日すぐ断るよ。オレ、蓮にずっと告白しようか迷ってた。男同士だし、蓮は女の子が好きなんだろうなって思ってたから」
「そうだよな。人間は、そういうの気にするんだよな」
「…? 人間は…?」
「あ、いや…。俺は、男とか女とか気にしないよ。俺は湊人の魂…いや、中身を好きになったんだ」
「そっか」
蓮はたまにおかしな事を言う。
「湊人は俺の事、ずっと好きでいてくれたんだな?」
「うん」
蓮は湊人の肩を抱き寄せた。蓮の方が少し背が高い。顔が近付いてきて、湊人は固まった。
「蓮…ここ、外…」
「ん?」
「みんなに見られると恥ずかしい」
「そうか、じゃあこっち」
蓮は湊人の腕を引いて、建物の影に入った。
それから、湊人の唇に触れるだけのキスをした。
湊人は自分の唇に触って、嬉しそうに笑った。
「蓮!」
「湊人? どうした?」
「オレ、中田の事別に好きなわけじゃないんだ」
息を切らせて話す湊人に、蓮は怪訝な表情を浮かべた。
「じゃあ、なんで付き合う事にしたんだ?」
「…それは…」
本当の事を言ったらきっと嫌われる。
「…かわいいから、付き合ってみてもいいかなって思ったんだ」
「ふーん」
「…オレ、やっぱり、中田に付き合えないって断るよ」
「そっか…。その方がいいよ」
蓮は安心したように微笑んだ。
「俺、湊人のこと好きだから。ずっと、一緒にいたい…」
「…え?」
湊人は耳を疑った。蓮が自分を好きだと言った。
いや、もしかしたら、友達としてという意味なのかもしれない。
「オレも蓮のこと好きだよ。大事な友達…」
「湊人…友達としてじゃなくて、その…恋愛の意味で…好きってことなんだけど…」
「え?」
「ごめん。急にこんなこと言われても、困るよな? 湊人は俺の事友達としか思ってないみたいだし…」
「違うよ。オレも蓮が好きだ。恋愛の意味で好きだよ」
湊人は焦ったように言った。
「ホントに? 俺、お前が中田と付き合うって聞いて、本当は悲しかったんだ。告白くらいしておけば良かったって思った」
「蓮。オレは、幼稚園の時から蓮が好きだよ」
本当は、前世からだけど。
「中田に告白されて、付き合うって言ったのは、本当は、ちょっと、からかってやろうと思ったから…。オレ、アイツの事嫌いで、ちょっといじめてやろうと思ってて…」
まさか、前世でいじめられたから仕返ししたくて…なんて言っても、信じてくれないよね。
湊人は、蓮をチラ見した。
(こんな最低な自分を好きでいてくれるかな?)
「そっか。いじめはよくないと思うけど、もう中田に断るって決めたんだろう? だったら問題ないんじゃないか?」
「そうだよな? オレ明日すぐ断るよ。オレ、蓮にずっと告白しようか迷ってた。男同士だし、蓮は女の子が好きなんだろうなって思ってたから」
「そうだよな。人間は、そういうの気にするんだよな」
「…? 人間は…?」
「あ、いや…。俺は、男とか女とか気にしないよ。俺は湊人の魂…いや、中身を好きになったんだ」
「そっか」
蓮はたまにおかしな事を言う。
「湊人は俺の事、ずっと好きでいてくれたんだな?」
「うん」
蓮は湊人の肩を抱き寄せた。蓮の方が少し背が高い。顔が近付いてきて、湊人は固まった。
「蓮…ここ、外…」
「ん?」
「みんなに見られると恥ずかしい」
「そうか、じゃあこっち」
蓮は湊人の腕を引いて、建物の影に入った。
それから、湊人の唇に触れるだけのキスをした。
湊人は自分の唇に触って、嬉しそうに笑った。
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