7 / 138
第一章 召喚されたからって勇者はしない
第七話 世界の基準
しおりを挟むぱぱっと創ったわりには完成度が高いと思う。洋風な二階建ての家。部屋は個室が六部屋あり、大きなリビングとキッチンは近くに設置している。今はまだ二人しかいないが、少しずつ埋まっていくのを妄想すると楽しかったりする。
さて、今夜の晩ご飯は豚から押収した食料達だ。
しかし!食料だけではない。きちっと料理もされております!!
俺は料理できないんだが、マリーが凄かった。プロも仰天のレベルであった。
マリーの料理レベル、それからこの世界の平均的なレベルやらを知りたかったので……
「突然だが、マリー。ステータス見ていいか?」
「本当に突然ですね……。御主人様なのですから許可なんて要りませんよ。少し待っててください。紙ってありますか?」
なるほど。主人にはそういう権限もあるのか……。
「いや、大丈夫だマリー。悪いが覗かせてもらうぞ」
俺には固有魔法『世界眼』がある。実はこの魔法MPを使わないのだ。俺の欠点である、MP1にも対応できる魔法だ。覗き見し放題。聞きたいことがあればなんでも答えてくれる。ありがとう世界眼。
そして、マリーのステータスは
名前 マリー Lv.28
種族 人族
職業 メイド
ステータス
HP 120
MP 200
〈固有魔法〉
メイドの嗜み 世界眼(劣化)
〈魔法〉
火魔法Lv.6 水魔法Lv.3 闇魔法Lv.3
〈スキル〉
料理Lv.8 裁縫Lv.8 掃除Lv.6 奉仕Lv.5 短剣Lv.4
〈耐性〉
無し
〈称号〉
元奴隷 化物のメイド 魔法メイド
これなのだが……。本当にこれが一般なのだろうか。明らかに高すぎやしないか?
〈マリーのステータスは異常です。楓様のメイドとなった事が原因かと思われます。
一般的には成人した農民がLv.10。貴族の者でLv.30。騎士がLv.50となります。他にも聖騎士部隊はLv.200。人間の頂点たる超越者達は個人差はありますが、Lv.2,000を超える者もいます。〉
お、おう。マリーがすごいのか、俺がすごいのか微妙なところだが……。
それよりも超越者って何者だい?俺よりも化物なんじゃないか?勇者いらないじゃん。
〈いいえ、勇者は必要です。聖騎士たちでは相手になりませんし、超越者達に関しては自由すぎます。寝ぼけて一国を滅ぼすこともよくありますし、世界から消えることもあります。魔王や、人族の危機には興味が無いようです〉
なにその自由集団。世界から消えるってなに。俺よりも化物やってんじゃん。
〈世界を壊しかけて、最高神に消される者。時空移動に失敗して、狭間に取り残された者。自ら世界から消えた者もいます。しかし、消えた者の全てがこの世界に帰ってきています。この中で楓様と渡り合えるのは一名おります。ですが楓様が負けることは無いと思われます〉
俺そんな化物に勝てますかね。最強の化物名乗るの恥ずかしくなってきたんですけど。
〈なにも問題ありません〉
あるよ。大分あるよ。一人勘違い程恥ずかしいものはないよ。
はぁ、もういいよ。世界眼、魔法やらスキルやらのレベルについて教えてくれないか?
〈かしこまりました。まず、魔法とスキルには1~10までのレベルが存在します。
Lv.1 素人 発動にもかなりの時間がかかる
Lv.2 駆け出し 発動はできる。一般人の限界
Lv.3 初級者 新人魔道師、新人騎士
Lv.4 中級者 魔道師、騎士の一般
Lv.5 上級者 国お抱えの宮廷魔道師や聖騎士レベル
Lv.6 王級 一国に一人程度しか生まれない天才
Lv.7 天災 力を使えば災害となり、争い合えば地形が変わることも
Lv.8 伝説 過去の伝承にある勇者が扱えた最高レベル
Lv.9 禁忌 世界に破滅を齎すとされる
Lv.10 神級 もはやとめれる者はいない。神でさえもお手上げ状態
といった具合になります。この世界で、戦闘系の神級スキル、魔法を持つのは二名います。超越者の一人と最古参の魔王です。〉
まてまて、戦闘系ではないがマリーが伝説級のスキルを手にしてるんだが!?どう考えてもおかしいだろ!
まさかとは思うが、これも俺が原因とかじゃねぇよな!?
〈その通りです。楓様の加護を受け、マリーのスキル、魔法のレベルは全て3上昇しております。それに上乗せする形で固有魔法『メイドの嗜み』により、家事系スキルのレベルが一つ上がっていますので、合計Lv.4分上がっています〉
じゃぁなにか?中級から一気に伝説級に上がったとでも!?とんでもないな俺!?迂闊に仲間増やせねぇじゃねぇか!!
「あのう……。御主人様?覗くとはいったい……」
覗くと宣言してからしばらく黙りこくってた俺を心配してか、マリーが俺の顔をのぞき込む。
「あ、あぁ。俺の固有魔法でな、相手のステータスを覗けるってのがあるんだ」
「鑑定能力ですか!?すごいです御主人様!まるで勇者様みたいですね!」
「そんなところだ。あまり他言するなよ?もし敵に手札を知られたりしたら面倒だしな」
勇者様みたい……か。俺巻きこまれた人なんですよね。正確には巻き込んだ側だが……。
この世界には鑑定なんていう力があるんだな。異世界ならではというか、テンプレ感満載というか。
「マリーは最近自分のステータスって見たか?」
この異常事態にマリーは気付いているのだろうか。いやまぁ、原因は俺なんだけどね。
「いえ、前に見たのは一ヶ月も前ですね。私のような非戦闘奴隷はレベルを気にしませんから」
「スキルレベルとか、魔法レベルとかは?」
「御主人様。スキルや魔法のレベルはめったに上がりませんよ。それこそ、一つレベルを上げるのに数年間毎日修業をしなければならないとか」
……言い出しにくい。俺が原因で、最低三つはレベルを上げてしまったことを。
「あ、あのなマリー。久しぶりにステータスを見てみたらどうだ?変化があるかもしれないぞ?」
ダメだ……!すごい思考誘導する気満々の人になってる。多分バレバレだよな……。俺の大根役者め!
「そうですね。御主人様がそういうのならば」
成功しちゃったよ……!!この子すごいな。天然なのか、従順なのか。微塵も疑わなかったぞ。詐欺とか引っかかりそうだな。
そして自分のステータスを見たのか、マリーが固まってしまった。「うぇ!?」というセリフを吐き捨てて。
マリーからそんな声が出るとは思わず、俺も少しの間固まった。おそろいだね。
ようやくマリーが再起動し、首をギギギと回して俺を見た。
「ごごごごご、ご、御主人様?こ、これは一体どうなってしまったのでしょうか……」
選択肢~
1,素直に話す(悪びれて)
2,素直に話す(ドヤ顔で自慢するかの如く)
3,無視する
4,ごり押しで駄女神のせいにする
俺に今出来るのはこのくらいか?一番納得してもらえそうなのは……1か4……だと思う。俺だけだろうか。
世界眼さん。俺がマリーに異常だと思われない為にはなにを選択すればいい?
〈手遅れです。〉
デスよね。くっ。俺では無理なのか……。
ん?ちょっと待てよ?なんで俺はマリーに気を使っているんだ?初めてのメイドだから?女の子だから?
あれ?俺は自分勝手で、嫌なことがあれば神すらも殺す暴君キャラのはず……。神殺しは事故だけど。
ならば……
5,俺だから
で済むじゃねぇか……!
よしいこう。俺は自分のしたいことをするのだ。この程度でいちいち悩んではいられないな。
「マリーそれはだな」
「なるほど、御主人様のおかげですか。『化物のメイド』という称号の効果のようですね!これくらいなければ御主人様にはついていけないということですか!」
「……」
マリー……なんて子……。俺が決意を固めたすぐあとに粉々に砕いてくるとは……。まさか一人合点するとは思わなかった。
……説明する手間が省けたと思えばいっか。あんまり考えても何ともならんしな。
「そういうことだ。これから俺のメイドとしてついてくるならばそれぐらいはなければな!」
「はい!御主人様!私もっと頑張りますね!!!」
「うむ。精進するのじゃぞ」
伝説級の料理スキルか。これからの食事は問題なさそうだな。日本基準で考えてしまうから、メシマズには耐えられないのだ。
〈楓様。不必要かもしれませんが、進言します。御自分のステータスを開いてみてはいかがでしょうか。盗賊討伐によりレベルも上がっておりますし〉
盗賊殺しただけでレベル上がるのか。俺はてっきり魔物とかだけだと思っていたが、そうではないらしいな。
ここは世界眼に従ってみるか。
ステータス
名前 黒田 楓 Lv.213
種族 化物
職業 学生
ステータス
HP 6,000,000
MP 1
〈固有魔法〉
世界眼
〈魔法〉
無し
〈スキル〉
隠密Lv.8 投擲Lv.7 脳天攻撃Lv.7
〈無効化・耐性〉
無効化(毒 電気 氷結 炎症 熱 誘惑 能力低下 奴隷化 即死)
耐性()
〈恩恵(不可視)〉
絶対 破壊 反射 重力操作 神威 疫病 変身 法則操作 創造 転移 血液操作 分解 再生 消去 守護 流星 肉体強化 ??? ??? ???
〈称号〉
異世界からの来訪者 最強 化け物 神殺し 神の謝罪を受けし者 勇者召喚に巻き込まれし者
〈従者〉
『伝説のメイド』マリー
隠密 発動中の気配、足音、匂いを軽減する。
投擲 投擲による攻撃の速度、威力に補正がかかる
脳天攻撃 発動中相手の脳天目がけて攻撃が飛んでゆく
ナニコレ……。
ついに化物として、認定されました。・・・まぁ、化物なんだけどね。
0
お気に入りに追加
2,576
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
ちょっとエッチな執事の体調管理
mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。
住んでいるのはそこらへんのマンション。
変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。
「はぁ…疲れた」
連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。
(エレベーターのあるマンションに引っ越したい)
そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。
「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」
「はい?どちら様で…?」
「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」
(あぁ…!)
今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。
「え、私当たったの?この私が?」
「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」
尿・便表現あり
アダルトな表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる