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第12話

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ゼノラス視点

 ルリサを国外追放してから数ヶ月が経ち、ギアノ国は大惨事となっていた。

 未だにルリサの目撃情報はなくて、貴族達は俺や国王を糾弾している。
 今日は城に貴族達が集まり、現状について話し合っていた。

「まだルリサ様は見つからないのですか!?」

「妹のシアノ様は全然役に立たない……危険だとしても、ルリサはギアノ国に必要でした!」

 貴族達の発言はいつも通りで、俺達王家を非難してくる。
 現状の対策について話し合っているが、ギアノ国はもう限界だ。

 そして――話し合っている大広間に、1人の青年が現れる。
 いきなり国王の前に現れた謎の青年に、唖然とした父上が叫ぶ。

「侵入者だ! すぐに取り押さえろ!!」

 大広間にいる貴族達が唖然としている中で、俺は思案する。
 国王の命を狙う者が現れるのは仕方ないと思うが、タイミングが理解できない。

 今は貴族達の護衛もいて、国王が敵から距離をとる。
 護衛達が魔法による攻撃を与え、怯んだ瞬間を兵士達が斬ろうとしていた。

 無謀な行動だと、この時の俺は侵入者に呆れてしまう。
 そして――1分も経たずに、この場にいた戦える者が侵入者によって倒されていた。

「なっっ!? 何者だ!?」

 父上のギアノ王が叫んだのは、侵入者の魔法で動くことができなくなったからだ。
 それは俺も、この場にいる貴族全員も同じようで――恐怖していると、青年が話す。

「私はガロスと申す者です。貴方達と戦う気はありません」

「護衛や兵士達を倒しておいて、よくそんなことが言えたものだ!」

 口だけは動かすことができるようで、国王が叫ぶ。
 危険な行動だと俺は焦っていると、ガロスと名乗った男が話す。

「彼等は意識を失っているだけですよ……私は、ルリサ様の居場所を知っています」

 身体を動かすことができない以上、俺達はガロスの話を聞くしかない。
 どうやらガロスは、ルリサのことを知っているようだ。
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