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第5話
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魔の森と呼ばれる広大なジャングルの奥に、屋敷が存在していた。
屋敷の中に案内されて、豪華な居間を眺めて私は驚いている。
レオンはここに住んでいるようで、私は椅子に座って尋ねた。
「魔の森は、世界で最も危険な場所と聞いたことがあるのですけど……大丈夫なのですか?」
去年レオンから魔の森に住んでいると聞いたけど、私は信じることができなかった。
行く当てがどこにもなかったから来てみたけど、屋敷を建てて住んでいることに驚いてしまう。
ここで生活できるのか気になって尋ねると、レオンが微笑みを浮かべて話す。
「大丈夫です。私はルリサと同じような力を持っています」
「そういえば、そうでしたね」
私と同じような力を持つレオンなら、魔の森でも問題なく暮らすことができそうだ。
そしてレオンは、自らの力について話してくれる。
「ルリサの方が増える魔力は多いはずですけど、私はルリサと同じ力を持っています」
私は魔力を1割以上使ってしまうと、魔力が回復した際に体内に宿る魔力が増加する力がある。
普通の人は体内に宿せる魔力に限度があるようだけど、私とレオンにはその限度がないようだ。
「この力は、私達が生きる世界の恩恵と呼ばれる力です……強すぎるから、数年前に私は異形として処刑されることとなりました」
そしてレオンは逃亡して森で暮らし、森は魔の森と呼ばれる程に成長したらしい。
それは数年前の出来事のようで――私は、気になったことがあって尋ねる。
「ここから近い国が数年前に滅びましたけど、レオンが国から出たことで起きたと言っていましたね」
「そうです。ギアノ国も、同じ末路を辿ることとなるでしょう」
私はレオンの話を聞いて、ギアノ国の人達に忠告した。
それでも私のことを危険だと考え、利用し尽くしたから国外へ追放することにしたようだ。
レオンと違い、処刑はされなかったけど……それはレオンの時とは違い、私を処刑する手段がなかったからだ。
どうやらレオンのいた国では、優秀な魔法使いがレオンを処刑する方法を考案したらしい。
「私の肉体は、膨大な魔力を宿しています。恐らく最期まで利用したかったのでしょう」
「酷いことを考えますね……そんな国は、滅びて当然だと思います」
レオンを処刑しようとした国は滅んだようで、これからガルク国も同じ目に合いそう。
どちらの国も自業自得だと思い、これからは自由に生きようと考えていた時だった。
「ルリサも狙われてしまうかもしれません――私と一緒に、ここで暮らしませんか?」
「……えっ?」
「私の気持ちを理解してくださるルリサと、一緒にいたいと想っています」
真剣な眼差しで、レオンが私に提案する。
全てを諦めた私だけど――同じ境遇のレオンだけは、信じられると想っていた。
屋敷の中に案内されて、豪華な居間を眺めて私は驚いている。
レオンはここに住んでいるようで、私は椅子に座って尋ねた。
「魔の森は、世界で最も危険な場所と聞いたことがあるのですけど……大丈夫なのですか?」
去年レオンから魔の森に住んでいると聞いたけど、私は信じることができなかった。
行く当てがどこにもなかったから来てみたけど、屋敷を建てて住んでいることに驚いてしまう。
ここで生活できるのか気になって尋ねると、レオンが微笑みを浮かべて話す。
「大丈夫です。私はルリサと同じような力を持っています」
「そういえば、そうでしたね」
私と同じような力を持つレオンなら、魔の森でも問題なく暮らすことができそうだ。
そしてレオンは、自らの力について話してくれる。
「ルリサの方が増える魔力は多いはずですけど、私はルリサと同じ力を持っています」
私は魔力を1割以上使ってしまうと、魔力が回復した際に体内に宿る魔力が増加する力がある。
普通の人は体内に宿せる魔力に限度があるようだけど、私とレオンにはその限度がないようだ。
「この力は、私達が生きる世界の恩恵と呼ばれる力です……強すぎるから、数年前に私は異形として処刑されることとなりました」
そしてレオンは逃亡して森で暮らし、森は魔の森と呼ばれる程に成長したらしい。
それは数年前の出来事のようで――私は、気になったことがあって尋ねる。
「ここから近い国が数年前に滅びましたけど、レオンが国から出たことで起きたと言っていましたね」
「そうです。ギアノ国も、同じ末路を辿ることとなるでしょう」
私はレオンの話を聞いて、ギアノ国の人達に忠告した。
それでも私のことを危険だと考え、利用し尽くしたから国外へ追放することにしたようだ。
レオンと違い、処刑はされなかったけど……それはレオンの時とは違い、私を処刑する手段がなかったからだ。
どうやらレオンのいた国では、優秀な魔法使いがレオンを処刑する方法を考案したらしい。
「私の肉体は、膨大な魔力を宿しています。恐らく最期まで利用したかったのでしょう」
「酷いことを考えますね……そんな国は、滅びて当然だと思います」
レオンを処刑しようとした国は滅んだようで、これからガルク国も同じ目に合いそう。
どちらの国も自業自得だと思い、これからは自由に生きようと考えていた時だった。
「ルリサも狙われてしまうかもしれません――私と一緒に、ここで暮らしませんか?」
「……えっ?」
「私の気持ちを理解してくださるルリサと、一緒にいたいと想っています」
真剣な眼差しで、レオンが私に提案する。
全てを諦めた私だけど――同じ境遇のレオンだけは、信じられると想っていた。
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