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第9話
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数日が経過して、魔法学園に通う日常を送っていた。
平和な日々だと考えていたけど……昼休み、私の教室にドリアス殿下がやって来る。
「キャシーはいるか!!」
昼休み開始のチャイムが鳴って即座に入ってきたことで、ドリアス殿下は周囲から注目を浴びていた。
そんなことはお構いなしに私を睨み、激高しながら教室内を歩いていく。
明らかに怒っていると伝わってきて、相手が王子だから周囲が怯えている。
私は一切気にならないけど、どうやらドリアス殿下は私を怯えさせたかったようだ。
それが失敗したからか、私の平然とした反応を見てドリアス殿下が顔を赤くしていく。
怒りが増していると推測できるけど、何を言われたとしても問題はない。
私とドリアス殿下が向かい合い、教室に来た理由を尋ねる。
「ドリアス殿下、なにか御用ですか?」
「用だと! 俺達は5日前、貴様のせいで酷い目に合ったぞ!!」
アルクから聞いていたけど、ドリアス殿下はここ5日間魔法学園を休んでいたらしい。
恐らく魔方陣の操作に失敗して、魂を使った結果だと推測することができている。
ドリアス殿下の怒声に周囲が驚いて、私は溜息を吐きながら呟く。
「5日前はこの学園で授業を受けていました。ドリアス殿下に何もできるわけがありません」
「貴様が何もしていないせいで、俺は酷い目に合っている!」
教室内の生徒達は、ドリアス殿下の意味不明な発言に呆れている様子だ。
そんな状況を一切気にせず、ドリアス殿下が怒気を強めて叫ぶ。
「俺は魔方陣の魔法道具を使った! あそこまで辛い目に合うとは思わなかったぞ!!」
「……なんですって?」
私が驚いたのは、ドリアス殿下が魔方陣の魔法道具を使ったことではない。
魔方陣の魔法道具は国家の重要機密で――それをドリアス殿下が、生徒の多い教室内で叫んだからだ。
平和な日々だと考えていたけど……昼休み、私の教室にドリアス殿下がやって来る。
「キャシーはいるか!!」
昼休み開始のチャイムが鳴って即座に入ってきたことで、ドリアス殿下は周囲から注目を浴びていた。
そんなことはお構いなしに私を睨み、激高しながら教室内を歩いていく。
明らかに怒っていると伝わってきて、相手が王子だから周囲が怯えている。
私は一切気にならないけど、どうやらドリアス殿下は私を怯えさせたかったようだ。
それが失敗したからか、私の平然とした反応を見てドリアス殿下が顔を赤くしていく。
怒りが増していると推測できるけど、何を言われたとしても問題はない。
私とドリアス殿下が向かい合い、教室に来た理由を尋ねる。
「ドリアス殿下、なにか御用ですか?」
「用だと! 俺達は5日前、貴様のせいで酷い目に合ったぞ!!」
アルクから聞いていたけど、ドリアス殿下はここ5日間魔法学園を休んでいたらしい。
恐らく魔方陣の操作に失敗して、魂を使った結果だと推測することができている。
ドリアス殿下の怒声に周囲が驚いて、私は溜息を吐きながら呟く。
「5日前はこの学園で授業を受けていました。ドリアス殿下に何もできるわけがありません」
「貴様が何もしていないせいで、俺は酷い目に合っている!」
教室内の生徒達は、ドリアス殿下の意味不明な発言に呆れている様子だ。
そんな状況を一切気にせず、ドリアス殿下が怒気を強めて叫ぶ。
「俺は魔方陣の魔法道具を使った! あそこまで辛い目に合うとは思わなかったぞ!!」
「……なんですって?」
私が驚いたのは、ドリアス殿下が魔方陣の魔法道具を使ったことではない。
魔方陣の魔法道具は国家の重要機密で――それをドリアス殿下が、生徒の多い教室内で叫んだからだ。
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