私の魔力を全て奪って婚約破棄するようですが、奪えるのは１週間だけです

第６１話

　ジェイクは何を言っても無理だと理解したようで、冒険者ギルドから逃げるように去って行く。

　私は冒険者の人達に騒ぎになったことを謝ると、謝る必要はないと言ってくれたことが嬉しかった。

「ここにいる冒険者達は、セリスに助けられた人ばかりです……セリスが判断するのを待っていたのでしょう」

「私の判断ですか？」

「はい。貴族に戻れるという選択ですからね。普通に追い出すとしても、セリスの気持ちが重要だと皆は思ったに違いありません」

　アインがそう言って――冒険者の人達が、ジェイクに何もしなかった理由を知る。

　私が貴族に戻る道もあると考えていたみたいだけど……私は、今の生活が一番幸せだ。

「私が冒険者でいたいと言ったのは、本心です」

「そうですか。それはよかった」

　私が冒険者のままがいいと本心を話すと、アインは嬉しそうだ。

「これでもう、ジェイク達と関わることもなさそうです」

「はい……とにかく今は、魔物達の大襲撃に備えましょう」

　そして数日後――魔物の群れによる大襲撃が、サイール国で起ころうとしていた。