私の魔力を全て奪って婚約破棄するようですが、奪えるのは１週間だけです

第２４話

ジェイク視点
　
　翌日になっても魔力はそのままで、俺は焦る。

「ちょっと待て……これはもしかして、俺自身の魔力なのではないか！？」

　最悪の事態を口に出し、部屋で俺は取り乱す。

　何が起きたのか理解できず、俺は叫ぶことしかできない。

「馬鹿な！？　こんな欠点は知らない……何が起きている！？」

　時間制限があったのなら、それは禁魔法の欠点として語り継がれているはず。

　成功すれば魔力を一生奪えるが、失敗していることで……俺は、唖然としながら呟く。

「まさか……奪った対象が生きていると、魔力が戻るのか！？」

　今まで魔力を奪う魔法を使った者が、その対象を消していたら伝わらないだろう。
　
　膨大な魔力を持っていた者が、魔力を失って無力になると……生きることすら諦めるようになってもおかしくはない。

　俺はセリスが消えると確信していたのに、未だに生きていることに驚くしかない。

「まさか……家を追い出されて持ち物は身に着けた貴族の服だけ、魔力も失い何もできないセリスが、生き延びたというのか！？」

　俺はレイドロ家を追い出されたセリスの現状を口にするが、どう考えても１週間生きられるわけがない。

　貴族なのに金を持たないから平民が着る服を買えず、魔力がないから戦うこともできない。

　それでも、魔力を失った結果から――俺はセリスが生きていると、確信を持つことができていた。