強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

第３３話

オリドス視点

　ルミスの発言を聞き、俺はシンディを狙わずヨハンを人質にすることを決意する。

　ヨハンには何も価値がないと思っていたが、シンディとそこまで親しいのなら別だ。

「ルミスよ。決行日が決まった時に、貴様にはシンディの足止めを命じる」

「お姉様の足止めですか？」

「奴は強すぎるからな……貴様が監視して動向を見張り、屋敷にいる内にヨハンを捕らえる！」

　シンディの魔力は強力すぎて、瞬間移動の魔法が使えるかもしれないと先生に言われていた。

　不可能だと考えているが、万一に備えて使える可能性を考えて動くことにしている。

　俺の計画をシンディに知られたら、常にヨハンを守ろうとするはずだ。

　主に自分が狙われていると考えている今だからこそ、ヨハンを捕らえることができそうだ。

■◇■◇■◇■◇■

　数日後――決行日が決まり、俺はヨハンのいるグノーア家の屋敷に到着していた。

　屋敷に侵入できる魔法使いを雇い、ルミスにはシンディの監視を命じている。

「今日、俺はヨハンを捕らえて……シンディの最期だ！」

　今まで何度もやり返されていたことで、俺はシンディに対して殺意を覚えていた。

　そして――この日を最後に、俺は何もできなくなる。