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第12話

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ヴァン視点

 父の命令を伝えるため、俺はリレック伯爵家の屋敷に向かっていた。

 回復魔法を何度も使うことで、エイダは完治している。
 それでも重傷を負ってからのエイダは、モンスターと戦おうとしなくなっていた。

 モンスターの侵攻は王家の力で食い止めているが、今度は群れで国を狙うらしい。
 迎え撃つために前線に出る必要があると報告すると、エイダは取り乱して叫ぶ。

「モンスターの群れとの戦いで、それも前線で私が魔法を使えって……無理に決まっています!」

「それでも父上の命令だ! 少しは活躍してもらう!」

「そんな!? ヴァン殿下がお姉様を見つければ解決するというのに、どうして見つけられないのですか!!」

「ぐっっ……参加しないのならリレック伯爵家は没落することになるだろう、そうなれば終わりだ!!」

「それは――参加しますけど、安全な場所で戦えるよう配慮してください!」

 エイダは貴族から、平民に落ちたくないようだ。

 サフィラを家から追い出した時、エイダは「平民になるぐらいなら命を絶ちます」とまで言っている。
 そんなエイダなら没落すると脅せば、従うしかないだろうと俺は考えていた。

 エイダ達リレック伯爵家は、サフィラを追い出したことを後悔している。
 俺も同じ気持ちだが……サフィラは、未だに見つからなかった。
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