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第6話

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ヴァン視点

 エイダがモンスターと戦い、魔法の制御ができず攻撃を受けてしまった。

 負傷したと聞いてすぐに屋敷へ向い、エイダの部屋に到着する。
 エイダは骨が何本も折れているようで、同行していた仲間達が助けたらしい。
 最悪の場合は命がなかったと聞き、俺はエイダが生きていることに安堵していた。

「まさかエイダが、ここまでやられるとは……」

 今までの活躍からは信じられないエイダの姿を目にして、俺は動揺していた。
 無傷でどんな敵でも倒して、膨大な魔力を使っても休めばすぐに全快する。
 ドルグア国で最も優れた魔法使いと呼ばれる程の実力があったから、俺はエイダの発言を信じていた。

 唖然として呟く俺に対して、エイダが話す。

「モンスター達は、そこまで強くありませんでした――これは、お姉様がいなくなったからです」

「……はぁっ?」

 家を追い出してからサフィラと呼び馬鹿にしていたのに、急にお姉様と呼び出す。
 そんなエイダに俺は呆れ果ててしまうと、全身を震わせてエイダが話す。

「このままではリレック家が終わります! ヴァン殿下は私の婚約者でしょう! なんとかしてください!!」

「ぐっっ!? エイダよ、今になって俺を頼るのか!?」

「もうそれしか手はありません! ヴァン殿下はお姉様を連れ戻して、また婚約すればいいだけです!」

 重傷を負ったことで心が折れたのか、今までからは考えられない発言をエイダはしている。
 俺はこれからのことを考えると目眩がして、頭を抱えるしかない。

「馬鹿な……エイダがここまで愚かだと、俺は思っていなかった……」

 愚かなのは俺も同じで、とにかく現状の危機を対処しなければならない。
 そのためには父の国王に報告するしかなくて――俺は、これから糾弾されることとなる。
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