私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

第３９話

　私達は屋敷に戻って――ヨハンが、捕らえたネイーズを眺めて話す。

「数日は意識が戻らないようにしていますけど、ネイーズを冒険者ギルドに連行する必要があります」

「ああ。ネイーズはヨハンの協力がなければ危なかった……ネイーズを倒したと知れば、首領のヴァガルが村へ報復に来る可能性がありそうだ」

「そうですね……安全を考慮して僕達が冒険者ギルドに行くと、その間に村が狙われるかもしれません」

　ネイーズを倒したと知られると、捕獲隊が総力をあげて村に来る可能性もある。

　村を巻き込みたくないと考えていると……ヨハンが提案してくれた。

「僕1人なら、全員で行動するより速くネイーズを運び村へ戻って来られます……ネイーズの連絡がなくて、捕獲隊が捜索に動く時間より速いはずです」

　ヨハンは2人が乗れる移動用魔法道具を持っているようで、私達が行くより1人の方が遙かに速いらしい。

　提案を聞いて、ジークが頷きながら呟く。

「確かにそうだが……捕獲隊が総力で村に来れば、俺達でも厳しそうだ」

「ネイーズを捕らえたとなれば、冒険者ギルドも総力をあげて動きます。そうなれば捕獲隊は、この国から去るしかなくなるでしょう」

　倒されたネイーズの報復を行おうとしても、副将が倒される程だから戦力を集める必要がある。

　その間に冒険者ギルドの戦力がこの国に集結したらどうしようもなくなるから、諦めて逃げ去るとヨハンは考えているようだ。