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第9話
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リオウを、冒険者のジークが優しく撫でていた。
とても幸せそうに見えて……撫で終えると再び表情を硬くして、ジークが私に尋ねる。
「……リオウだが、調子が悪いのではないか?」
「わかるのですか?」
ジークの発言に私が尋ねたのは、今日のリオウは元気に振る舞っていたからだ。
リオウは昨日、村長の前では元気のない姿を見せたけど……今日、冒険者達の前では我慢していた。
回復魔法が使える私は同行することになるけど、不調だと知られたらリオウは同行できないかもしれない。
そう考えたリオウは今まで元気なフリをしていたけど……ジークは、触れただけでわかったようだ。
私が驚いていると、リオウの発言で更に驚くことになる。
『アミリア……ジークが私に触れて何をしたのかわかりませんけど、一気に元に戻ることができました』
「えっ!?」
リオウが飛び跳ねながら元気よく鳴き声を出すけど、ジークが何をしたのかがわからない。
私とリオウがジークを眺めると、安堵しながら話してくれる。
「元気になってよかった……俺は動物について調べていたけど、魔力を宿した動物は体内の魔力が扱えなくなる時があるらしい」
それが不調の原因だと思うけど、私とリオウは知らなかった。
リオウが分身体を出したのは初めてだから、分身の体に慣れず体内の魔力が扱えなくなったのかもしれない。
「俺がリオウに魔力を与えることで、問題なく扱えるようにした……アミリアさんにも、やり方を教えておこう」
「ありがとうございます……よろしくお願い致します」
大地の主は2人組の冒険者が調査をして、明日倒すことに決まっている。
今日、私はジークから――リオウに魔力を与える方法を教わろうとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
私はジークから、リオウに魔力を与える方法を教わる。
かなり高度な技術と聞いていたけど、リオウとは意思疎通ができるから問題ない。
これでリオウは不調になることはなくて……ジークと出会えてよかったと、私は心から想っていた。
「ジーク、ありがとう」
『ありがとうございます……と言っても、私の声は聞こえませんか』
夕方になって――私は、リオウに魔力を与えることができていた。
話している間に敬語はいらないとお互いが決めて、私とリオウがお礼を伝える。
「1日で魔力を問題なく与えるようになるとは思わなかった……アミリアは、リオウと会話ができるからこそだ」
どうやらジークは、リオウの反応から会話ができていると気づいたようだ。
隠す必要もなかったから、私は頷く。
「はい……えっと、ジークは私がリオウと会話できていることを知っていたのね」
「俺は魔力を宿した動物に詳しい。リオウの声の意味も、俺にはわかっている」
どうやらジークは、リオウの言葉がわかるようだ。
とても幸せそうに見えて……撫で終えると再び表情を硬くして、ジークが私に尋ねる。
「……リオウだが、調子が悪いのではないか?」
「わかるのですか?」
ジークの発言に私が尋ねたのは、今日のリオウは元気に振る舞っていたからだ。
リオウは昨日、村長の前では元気のない姿を見せたけど……今日、冒険者達の前では我慢していた。
回復魔法が使える私は同行することになるけど、不調だと知られたらリオウは同行できないかもしれない。
そう考えたリオウは今まで元気なフリをしていたけど……ジークは、触れただけでわかったようだ。
私が驚いていると、リオウの発言で更に驚くことになる。
『アミリア……ジークが私に触れて何をしたのかわかりませんけど、一気に元に戻ることができました』
「えっ!?」
リオウが飛び跳ねながら元気よく鳴き声を出すけど、ジークが何をしたのかがわからない。
私とリオウがジークを眺めると、安堵しながら話してくれる。
「元気になってよかった……俺は動物について調べていたけど、魔力を宿した動物は体内の魔力が扱えなくなる時があるらしい」
それが不調の原因だと思うけど、私とリオウは知らなかった。
リオウが分身体を出したのは初めてだから、分身の体に慣れず体内の魔力が扱えなくなったのかもしれない。
「俺がリオウに魔力を与えることで、問題なく扱えるようにした……アミリアさんにも、やり方を教えておこう」
「ありがとうございます……よろしくお願い致します」
大地の主は2人組の冒険者が調査をして、明日倒すことに決まっている。
今日、私はジークから――リオウに魔力を与える方法を教わろうとしていた。
■◇■◇■◇■◇■
私はジークから、リオウに魔力を与える方法を教わる。
かなり高度な技術と聞いていたけど、リオウとは意思疎通ができるから問題ない。
これでリオウは不調になることはなくて……ジークと出会えてよかったと、私は心から想っていた。
「ジーク、ありがとう」
『ありがとうございます……と言っても、私の声は聞こえませんか』
夕方になって――私は、リオウに魔力を与えることができていた。
話している間に敬語はいらないとお互いが決めて、私とリオウがお礼を伝える。
「1日で魔力を問題なく与えるようになるとは思わなかった……アミリアは、リオウと会話ができるからこそだ」
どうやらジークは、リオウの反応から会話ができていると気づいたようだ。
隠す必要もなかったから、私は頷く。
「はい……えっと、ジークは私がリオウと会話できていることを知っていたのね」
「俺は魔力を宿した動物に詳しい。リオウの声の意味も、俺にはわかっている」
どうやらジークは、リオウの言葉がわかるようだ。
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