婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

第６１話

　私はメリタの魔法による攻撃を、防ぐことしかできていない。

　明らかに追い詰められていて――私と違い、余裕のあるメリタが話す。

「ジトア様は、バハムス様が足止めしています」

「バハムス様では、ジトア様を足止めすることは無理でしょう」

　私は断言すると、メリタは嬉しそうに話した。

「バハムス様に無茶をさせることで、ジトア様の足止めができるほどに強くなっています……強くなった代償をすぐ払うことになりますけど、ルーミエ様を支配するためです！」

「私を支配……ですか？」

　私はメリタの発言を聞いて、動揺してしまう。

　動機がわからないとジトアは言っていて、バハムスの復讐に協力しているぐらいしか思いつかなかった。

　どうやら私を支配することが、メリタの狙いだったようだ。

「人を傷つけることに抵抗があるルーミエ様なら、意識を奪い支配することもできるでしょう」

　私の魔法の実力から、メリタは支配したかったのかもしれない。

　人を支配する魔法を使うには、相当な準備と代償が必要になる。

　メリタがそこまでする理由を考えて――それが、現状を打破する方法になろうとしていた。