婚約者の命令により魔法で醜くなっていた私は、婚約破棄を言い渡されたので魔法を解きました

第２９話

バハムス視点

　マーサが屋敷の応接室にやって来て、俺とメリタは話をすることにしていた。

　メリタから聞いた話を思い返し、俺はマーサに尋ねる。

「マーサよ。メリタから話を聞いているか？」

「はい。私が優秀な成績でいられるのもメリタ様のお陰です。メリタ様の命令に間違いはありません！」

「そ、そうか……」

　メリタから部下だと聞いていたが、それはメリタがマーサに魔法について教えていたからのようだ。

　明らかにメリタを崇拝している様子のマーサに、俺は少し引きながらも話す。

「俺も手伝うことになっている。協力してルーミエを貶めようではないか」

「バハムス様は、そこまで力にならなくても大丈夫ですわ。足を引っ張られたくないですし、私の手でルーミエを潰したいのです！！」

「そ、そうか……」

　叫ぶマーサに、俺は困惑しながらも頷く。

　マーサが力強く宣言して、ルーミエ達を必ず潰すと決意している。

　俺も協力することにして――メリタを婚約者にしてよかったと、この時の俺は考えていた。