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第16話

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 アシェルが毒のナイフを手に入れる日になって、私はマルクスと一緒に行動していた。

 早朝――学園内の生徒がほとんどいない時間に、アシェルとトルーグが隠れて会うようだ。
 場所もマルクスが知っていたから、私達は隠れて様子を見る。
 毒のナイフをトルーグから受け取ったようで、上機嫌なアシェルの声が聞こえた。

「トルーグ、よくやった……これをエミリーの机に入れて、エミリーが全て悪かったことにしてやる」

 アシェルが話したから、私達は計画を知ることができた。

 毒のナイフは使うのではなく、私を犯罪者にするための代物のようだ。
 アシェルは手袋をつけて指紋がつかないようにしているし、私がナイフに触れた後で糾弾する予定なのかもしれない。
 否定することはできそうな気がするけど……今のアシェルは、とにかく私を貶めたいようだ。

「会話は記録しましたから、後はアシェルを取り押さえるだけです」

 そう言ったマルクスの傍には、協力を頼んで待機してくれた先生達がいる。
 会話も録音できたから、アシェルが言い逃れることは不可能だ。

「本物か確認したいが、間違いで手を切ったら大惨事だ。トルーグを信じて、鞘から抜かないでおこう」

 上機嫌で話すアシェルの前に、私達がやって来る。
 先生を連れた私とマルクスを目にして、驚愕しているアシェルとトルーグに、私は言う。

「アシェル殿下――貴方は最低です」

 本心を伝えて、アシェルとトルーグは取り押さえられている。
 私を消そうとしたようだけど、消えるのはアシェルの方だった。
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