16 / 19
第16話
しおりを挟む
アシェルが毒のナイフを手に入れる日になって、私はマルクスと一緒に行動していた。
早朝――学園内の生徒がほとんどいない時間に、アシェルとトルーグが隠れて会うようだ。
場所もマルクスが知っていたから、私達は隠れて様子を見る。
毒のナイフをトルーグから受け取ったようで、上機嫌なアシェルの声が聞こえた。
「トルーグ、よくやった……これをエミリーの机に入れて、エミリーが全て悪かったことにしてやる」
アシェルが話したから、私達は計画を知ることができた。
毒のナイフは使うのではなく、私を犯罪者にするための代物のようだ。
アシェルは手袋をつけて指紋がつかないようにしているし、私がナイフに触れた後で糾弾する予定なのかもしれない。
否定することはできそうな気がするけど……今のアシェルは、とにかく私を貶めたいようだ。
「会話は記録しましたから、後はアシェルを取り押さえるだけです」
そう言ったマルクスの傍には、協力を頼んで待機してくれた先生達がいる。
会話も録音できたから、アシェルが言い逃れることは不可能だ。
「本物か確認したいが、間違いで手を切ったら大惨事だ。トルーグを信じて、鞘から抜かないでおこう」
上機嫌で話すアシェルの前に、私達がやって来る。
先生を連れた私とマルクスを目にして、驚愕しているアシェルとトルーグに、私は言う。
「アシェル殿下――貴方は最低です」
本心を伝えて、アシェルとトルーグは取り押さえられている。
私を消そうとしたようだけど、消えるのはアシェルの方だった。
早朝――学園内の生徒がほとんどいない時間に、アシェルとトルーグが隠れて会うようだ。
場所もマルクスが知っていたから、私達は隠れて様子を見る。
毒のナイフをトルーグから受け取ったようで、上機嫌なアシェルの声が聞こえた。
「トルーグ、よくやった……これをエミリーの机に入れて、エミリーが全て悪かったことにしてやる」
アシェルが話したから、私達は計画を知ることができた。
毒のナイフは使うのではなく、私を犯罪者にするための代物のようだ。
アシェルは手袋をつけて指紋がつかないようにしているし、私がナイフに触れた後で糾弾する予定なのかもしれない。
否定することはできそうな気がするけど……今のアシェルは、とにかく私を貶めたいようだ。
「会話は記録しましたから、後はアシェルを取り押さえるだけです」
そう言ったマルクスの傍には、協力を頼んで待機してくれた先生達がいる。
会話も録音できたから、アシェルが言い逃れることは不可能だ。
「本物か確認したいが、間違いで手を切ったら大惨事だ。トルーグを信じて、鞘から抜かないでおこう」
上機嫌で話すアシェルの前に、私達がやって来る。
先生を連れた私とマルクスを目にして、驚愕しているアシェルとトルーグに、私は言う。
「アシェル殿下――貴方は最低です」
本心を伝えて、アシェルとトルーグは取り押さえられている。
私を消そうとしたようだけど、消えるのはアシェルの方だった。
10
お気に入りに追加
938
あなたにおすすめの小説
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
妹に醜くなったと婚約者を押し付けられたのに、今さら返せと言われても
亜綺羅もも
恋愛
クリスティーナ・デロリアスは妹のエルリーン・デロリアスに辛い目に遭わされ続けてきた。
両親もエルリーンに同調し、クリスティーナをぞんざいな扱いをしてきた。
ある日、エルリーンの婚約者であるヴァンニール・ルズウェアーが大火傷を負い、醜い姿となってしまったらしく、エルリーンはその事実に彼を捨てることを決める。
代わりにクリスティーナを押し付ける形で婚約を無かったことにしようとする。
そしてクリスティーナとヴァンニールは出逢い、お互いに惹かれていくのであった。
【完結】離縁の理由は愛されたいと思ったからです
さこの
恋愛
①私のプライバシー、プライベートに侵害する事は許さない
②白い結婚とする
③アグネスを虐めてはならない
④侯爵家の夫人として務めよ
⑤私の金の使い道に異論は唱えない
⑥王家主催のパーティー以外出席はしない
私に愛されたいと思うなよ? 結婚前の契約でした。
私は十六歳。相手は二十四歳の年の差婚でした。
結婚式に憧れていたのに……
ホットランキング入りありがとうございます
2022/03/27
【完結】双子の妹にはめられて力を失った廃棄予定の聖女は、王太子殿下に求婚される~聖女から王妃への転職はありでしょうか?~
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
聖女イリーナ、聖女エレーネ。
二人の双子の姉妹は王都を守護する聖女として仕えてきた。
しかし王都に厄災が降り注ぎ、守りの大魔方陣を使わなくてはいけないことに。
この大魔方陣を使えば自身の魔力は尽きてしまう。
そのため、もう二度と聖女には戻れない。
その役割に選ばれたのは妹のエレーネだった。
ただエレーネは魔力こそ多いものの体が弱く、とても耐えられないと姉に懇願する。
するとイリーナは妹を不憫に思い、自らが変わり出る。
力のないイリーナは厄災の前線で傷つきながらもその力を発動する。
ボロボロになったイリーナを見下げ、ただエレーネは微笑んだ。
自ら滅びてくれてありがとうと――
この物語はフィクションであり、ご都合主義な場合がございます。
完結マークがついているものは、完結済ですので安心してお読みください。
また、高評価いただけましたら長編に切り替える場合もございます。
その際は本編追加等にて、告知させていただきますのでその際はよろしくお願いいたします。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
【完結】真実の愛のキスで呪い解いたの私ですけど、婚約破棄の上断罪されて処刑されました。時間が戻ったので全力で逃げます。
かのん
恋愛
真実の愛のキスで、婚約者の王子の呪いを解いたエレナ。
けれど、何故か王子は別の女性が呪いを解いたと勘違い。そしてあれよあれよという間にエレナは見知らぬ罪を着せられて処刑されてしまう。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」 これは。処刑台にて首チョンパされた瞬間、王子にキスした時間が巻き戻った少女が、全力で王子から逃げた物語。
ゆるふわ設定です。ご容赦ください。全16話。本日より毎日更新です。短めのお話ですので、気楽に頭ふわっと読んでもらえると嬉しいです。※王子とは結ばれません。 作者かのん
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.ホットランキング8位→3位にあがりました!ひゃっほーー!!!ありがとうございます!
【完結】婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる
冬月光輝
恋愛
「お前とは婚約破棄したけど友達でいたい」
第三王子のカールと五歳の頃から婚約していた公爵令嬢のシーラ。
しかし、カールは妖艶で美しいと評判の子爵家の次女マリーナに夢中になり強引に婚約破棄して、彼女を新たな婚約者にした。
カールとシーラは幼いときより交流があるので気心の知れた関係でカールは彼女に何でも相談していた。
カールは婚約破棄した後も当然のようにシーラを相談があると毎日のように訪ねる。
義姉から虐げられていましたが、温かく迎え入れてくれた婚家のために、魔法をがんばります!
野地マルテ
恋愛
大公の後妻の娘、アザレア。彼女は前妻の娘である長女ストメリナから陰湿な虐めを受けていた。一族でただ一人、朱い髪を持って生まれてきたアザレアは「不義の子」との疑いを掛けられ、虐げられていたのだ。
辛く厳しい生活を送るアザレアに、隣国の筆頭貴族イルダフネ侯爵家次期当主サフタールとの結婚話が上がる。
サフタールは誠実な青年だと人柄に定評があり、アザレアと年齢も近かった。
アザレアは魔法の教師兼侍女のゾラ一人を伴い、婚家のイルダフネ家へ向かう。
この婚姻が自身の転機となることを願って。
「不義の子」との疑いをかけられ、ずっと虐げられていたアザレア。そんなアザレアが、婚約者のサフタールや嫁ぎ先のイルダフネ家で受け入れられたことをきっかけに、本来の力を発揮するように。
アザレアが不遇だった過去を乗り越え、宿敵ストメリナとの決着をキッチリつけて幸せをがっつり掴む物語です。
※まめに更新する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる