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第70話

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 私の本来の魔法は成長していて、仮面の魔法道具で抑えられていたようだ。
 全て知っていたからロランは私に指輪を渡したようで、マクスウェルの計画は崩壊している。

 もうこの手に全てをかけていたのか、マクスウェルは撤退せず私を捕えようとする。

 必死なマクスウェルとバルターの攻撃を数分間防ぎ切り――少し負傷しているロランが、私の前に立っていた。

「……予想より、早いな」

 全てを諦めた様子で、マクスウェルが話す。
 私を見て安堵したロランが、肩をすくめながら返答した。

「焦ってない辺り、計画達成の時間より遅かったということか」

「そうだ。計画では1分経たずにシエルを手に入れていたが……失敗するとはな」

 もう数分経っているのは間違いなくて……負傷している姿を見ると、ロランは急いで来てくれたのだとわかる。

「ここまで追い詰めてくるとは思わなかったけど、もう終わりだ――お前は、シエルを侮った」

 ロランが怒気を籠めた声で話し、マクスウェルが苦笑する。

「侮った。か……私は、お前以外全ての人間を侮っていたさ」

 隣で呆然と立ち尽くしているバルターを眺め、溜息を吐きながらマクスウェルが話を続けた。

「数千年生きて……いずれ愚かな人類に勝てると確信していたのに、まさかロランのような奴が現れるとはな」

「俺も、お前みたいな奴がいるなんて考えていなかった。数千年間で、今みたいに必死になっていれば、勝てた時代があったかもな」

「確かに、そんな気がする――最期は、充実して楽しめたよ」

 それがマクスウェル最期の言葉となって――ロランの魔法を受けて、マクスウェルが消滅する。

 数千年生きたモンスターの王は、規格外の存在であるロランによって倒されていた。
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