婚約破棄を言い渡された私は、元婚約者の弟に溺愛されています

第２１話

　数週間後――私は支援魔法で、ニコラスの力になることができている。

　街の外に住むモンスターを狩って、冒険者ギルドに買取ってもらう。
　それだけで十分生活できて、ニコラスと一緒にいられる日々が幸せだ。

　幸せな日々を送っていると――屋敷に、オリヴァーがやって来ていた。

■◇■◇■◇■◇■

　私の隣にニコラスが座って、対面したオリヴァーが話を始める。

「２人に話しておきたいことがある……１週間以内に、モンスターの大量発生による大襲撃が起こりそうだ」

　冒険者ギルドが調査した結果、モンスターが大量に現れるタイミングがわかったらしい。

　アリアス国と隣国のサフレス国は大惨事になると予測されているようで、冒険者達が集まっているようだ。

「ルーナさんがいるから、アリアス国の防衛は問題ないはずだが……懸念すべきは、歴代で最も規模がデカくなりそうで、モンスターの強さが判明できていないことだ」

「それは、ルーナさんの支援魔法でも、防ぎきれないということですか？」

　ニコラスが尋ねて、オリヴァーが肩をすくめながら話す。

「可能性はある……ルーナさんの支援魔法を受けたニコラス君の協力が欲しいのだが、頼めないだろうか？」

　どうやらこれが本題のようだけど、ニコラスが危険な目に合って欲しくはない。
　そう考えていた時……ニコラスが、オリヴァーに尋ねる。

「もし敵が強力なら、全体を無意識に支援しているルーナさんの魔力が尽き、命を失う可能性があるからですね」

「……後から説明するつもりだったけど、そこまで察していたか」

「この国の生活は楽しいので、国外に出たくありません……ルーナさん、私はモンスターの対処に向かおうと思っております」

　ニコラスが防衛に出る理由は、私の為のようだ。

「そうですね……私も、アリアス国を守りたいと思っています」

　私もこの国から出る気はなくて――ニコラスと一緒に、モンスターの大襲撃を対処しようと決意していた。