婚約者が私と婚約破棄する計画を立てたので、失踪することにしました

第７話

　私が失踪してから数日が経過して――私は地下室で、魔法道具の加工と作成に取りかかっていた。

　必要な物が倉庫になければ、ユアン様に頼むことですぐに手配してくれる。

　衣食住も完璧で……今までとは違う快適な新たな生活を、私は楽しんでいた。

　昼食を終えて休憩していると、今まで傍にいてくれるユアン様が尋ねる。

「ルクル様。地下での生活は大丈夫でしょうか？」

「はい。快適です……ユアン様、何かありましたか？」

　私は本心を話すけど、ユアン様は不安な様子だ。
　気になって尋ねると、天井を眺めてユアン様が話す。

「今、ルクル様の家族が必死に捜索しています……今までビノアス家が用意できた魔法道具の数から、ルクル様を酷使していたのではないかと疑われているようです」

「私の家族が貴族達に魔法道具の提供ができなくなり、今まで提供してきた量が1人で作るには異常な量だからですね」

　ビノアス家は魔法道具の加工、作成能力に優れている者が領地に多いと言い広めていたようだ。

　恐らく私だけの力だと知られたら、酷使していると疑われるのを避けたかったからに違いない。

　私が失踪して何もできないことが発覚したら、ビノアス家は調査されたとしてもおかしくなかった。