何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有

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第87話

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 ドスラが城に来たけど、ウルクがランアス国に戻していた。
 数時間後にはウルクが戻って来て、私は部屋でウルクと話していた。

「全力の高速移動なら、1時間もかからず他国に行けるのですか」
「一度行ったことがあるから、迷わなかったのが大きい……意識のないドスラを玉座に置いて、何も言わず戻って来た」

 国を守っていた魔法道具が壊れて、王都にモンスターが侵入している。
 城には国全体を守る膨大な魔力を宿す結晶体があって、それを破壊されたら国は滅びてしまう。
 私が戻って結界を張るしか助かる方法はなかったから、ドスラは城までやって来ていた。

「国の核となる魔力の結晶体が壊れると、どうなってしまうのですか?」
「今まで人が集まる場所に行けなかったモンスターの群れも進行できるようになり、何も残らないとされている。一気に滅びてしまうようだ」

 幾つも国が滅びている歴史があるから、核となる結晶体が壊れた後のことは判明している。
 数日が経って――私とウルクは、ランアス国が滅びたと報告を受けていた。
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