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第10話

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ドスラ視点

 宰相サウスの報告を聞き、俺は急いでシーフェス公爵家の屋敷に向かった。

 結界魔法が実在しているというのは、兵士長や宰相サウスの報告で間違いない。
 謝り戻るよう命令する……俺がこの国の王なのだから、エルノアは従うしかないだろう。

 そう考えていたのに、屋敷に到着した俺は応接室に案内される。
 エルノアの姿がないことに困惑すると、長男のフリードが対面して話す。

「ドスラ陛下、エルノアはここにはいません」
「なんだと!? それならエルノアはどこにいる!?」
「わかりません。エルノアは「ランアス国から出て行く」と言い、馬に乗って消えました」
「なっっ……!? 誰も止めなかったというのか!?」

 フリードが対応しているのは、エルノアの父の領主が部屋で寝込んでいるからと聞いている。
 どうやらシーフェス公爵家は結界の恩恵を多大に受けていたから、それを失った反動により大変なようだ。

「気付いた時には間に合いませんでした。ドスラ陛下がエルノアを「何もできない王妃」と言ったことで、私達も結界魔法が実在しないと考えたせいです」
「ぐっっ……貴様は、俺のせいだと言いたいのか!」
「その通りです。シーフェス家の惨状をご存知でしょう、ランアス国は滅びてもおかしくありません!」

 フリードの発言を聞き、俺は怯んでしまう。

 シーフェス公爵家はエルノアの結界を失い、領民が急に疲弊して動けなくなってしまう。
 そこから今まで動きの鈍かったモンスターが活性化したことで被害が出てしまい、移民する者が多いようだ。

 シーフェス領は悲惨なことになっていて、それがこれからランアス国全土で起こる。
 フリードの推測を聞き、俺は精神的に追い詰められていた。
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