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第7話

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 私がランアス国から出て行き、隣国の二―ルド国に来たのは2つの理由がある。
 1つは世界樹を見るためで、もう1つは……隣国にいれば、ランアス国の末路を知ることができると考えていたからだ。

 目の前にいるウルクに、私は尋ねる。

「……私がこの森に結界を張ったことで、何か問題が起きてしまうのでしょうか?」

 世界樹を見ることはできたけど、そこに二―ルド国の第二王子ウルクがいるのは予想外だ。

 ウルクは私の結界を認識できるようで、そんな人は今までいなかった。
 動揺して尋ねてしまうと、私を眺めてウルクは笑顔で話す。

「問題どころか嬉しいぐらいだ。エルノアは森の全体を把握するため結界を張ったと思うが、できれば結界を張ったままにして欲しい」
「わかりました。それならこの森の結界はそのままにしておきます」
「ありがとう……ランアス国の結界が幾つも消えたから出て行ったことはわかったけど、理由について聞いてもいいだろうか?」
「はい。数日前のことになります」

 尋ねられた私は、ウルクに数日前に何が起きたのかを話す。

 もう平民だから敬語はやめて欲しいと頼むと……ウルクも、気にせず普通に話して欲しいと言ってくれる。
 それでも私が敬語で話したくて、ウルクは私が冷遇されていたことが信じられない様子だ。

「そんなことになっていたのか。エルノアが「何もできない王妃」と言われていたのは、結界魔法の力を隠すためだと考えていたが……気分を悪くしてしまったならすまない」
「私は何も気にしていません。ウルク様は、私の結界をご存じだったのですね」
「ああ。結界魔法の力を知るためには、膨大な魔力を宿している必要がある……結界を察知できる者は、世界でも数人程度のはずだ」

 宰相サウスも結界魔法が実在していると察してそうだけど、あの人は察知したのではなく利益から結界魔法が実在していると考えていそう。
 会話をしながら、ランアス国でも有名なウルクについて私は考える。

 ウルクは二―ルド国の第二王子で20歳だけど、行動力の高さから婚約してくれる人がいないらしい。
 国で最も強いとされる魔法使いで、護衛よりも遥かに強いから1人で行動しているようだ。

「この森にはよく来るが、そのせいか縁談が来ない。危険な魔法王子として有名なんだ」
「それは知っています。確かに、護衛も連れずここまで来ていますものね」

 その後、私達はお互いが扱える魔法について話す。

 ウルクは私の結界魔法を知っていて、魔法について話し合えるのが嬉しい。
 時間が過ぎていき――ウルクは、私に提案する。

「さてと。これからドスラはエルノアを連れ戻そうとするだろうから、城に来てくれないだろうか?」
「その方が安全だと思いますけど、よろしいのでしょうか?」
「構わない。理由だが……俺がエルノアを、これから妻にするということにでもしておこう」
「ええっ!?」
「今はそうしておいて欲しい。それならドスラからエルノアを守ることができる……どうだろうか?」

 私はウルクの提案を聞き、驚いてしまう。
 自由になってすぐ危険な森へ行き、世界樹を見に来た私をウルクは守りたいと思ってくれている。
 守るため城にいて欲しいから、これからウルク王子の妻になるいうことにして欲しいようだ。

 提案が嬉しくて、私は頷き返答する。

「わかりました。ウルク様、これからよろしくお願いいたします」

 1人で世界樹の元まで来ているウルクとは気が合いそうで、もっと話したいと思っている。
 ふりだと思うけど――私は、ウルクの婚約者になろう。
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