妹の方がいいと婚約破棄を受けた私は、辺境伯と婚約しました

第５６話

　時間は少し前まで遡り……私とゼロア様は、研究者の会話を魔法道具で聞いていた。

　ジャカル家の領主は怒り、元家族ホトルクス家は私が消えることに笑っている。
　最後のチャンスを与えたけど、何も知らないから心の底から私達を消したいのが解る。

　そして――皆の笑い声を聞きながら、レヴォクが宣言する。

『さっさと作動させてシーラとゼロアを亡き者にしろ！！』

　――研究者の忠告を無視して、レヴォクの叫びが魔法道具経由で伝わってくる。
　謝罪して責任をとるか、最期を迎えるかの選択で……奴等は私達が消えることを望んでいた。

　研究者を経由した最後の忠告だったけど……どうやら元家族、元婚約者とその家族の総意のようだ。
　それならもう……私は、躊躇わなくていい。

「シーラが気に病まないかが心配だ……大地に魔力を込めて本当に大丈夫か？」

「はい……ゼロア様、ワンド、一緒に行いましょう」

「わかりました。これで……全てを終わらせましょう」

　私は地面に魔力を流し――私に触れたゼロア様とワンドの魔力も使う。

　それによって、屋敷の近くの地面に埋めたプラントモンスターを稼働させる。
　屋敷の中で轟音が響き、地面から巨大なツタが発生して――私達は復讐を始めていた。